アヌティン首相は3月23日頃、燃料価格管理をめぐる混乱について国民に謝罪した。3月前半に行われた燃料価格管理の失敗と、価格が急激に変動したことへの謝罪を表明し、「状況は改善に向かっている」との認識を示した。
首相は就任後に直面した最初の大きな政策判断として、石油基金を通じた燃料価格の人為的な据え置きを続けることが財政的に困難になったとして、市場価格への段階的な移行を決断した経緯を説明した。その結果として生じた1リットル6バーツという急激な価格上昇に対し、消費者・事業者の双方から激しい批判が集中していた。
謝罪の内容は「政府として最善を尽くしたが、市場移行のタイミングと方法がより丁寧であるべきだった」という認識を示すものだった。石油基金の赤字拡大という客観的な制約の中での苦しい判断であったことを強調しながらも、混乱を招いたことへの責任を認めた形だ。
タイにおける首相の公開謝罪は政治的に重い意味を持つ。プラユット前首相もコロナ対応などで国民に謝罪したことがあるが、エネルギー政策に関する謝罪は異例の部類に入る。与党内では「謝罪は弱さの表れ」と否定的に見る声がある一方、「誠実さを示すことが国民の信頼回復につながる」という評価もあった。
燃料危機をめぐる政府の対応は、当初の「価格を抑える」という方針から「市場に委ねる」への転換、そして燃料備蓄の全量投入という急転換と、短期間に大きな方向転換を繰り返した。今回の謝罪は一連の混乱に対する政治的な区切りとしての意味を持ち、以降の安定供給回復に向けた政府の取り組みを強調する文脈で語られた。