ベトナム政府が2026年4月15日まで燃料税(環境保護税)の徴収を停止する措置を取った。中東情勢の悪化による原油価格高騰に対処するためで、タイが補助金方式で価格を抑えようとした対応とは対照的なアプローチだ。
ベトナムの措置の概要
ベトナム政府は燃料に課している環境保護税(ETC)を4月15日まで免除する政府決定を発出した。対象はガソリン・ディーゼル・ジェット燃料などで、税収減の代わりに国民が直接ポンプで安い価格を享受できる形を選んだ。
ベトナムの燃料税制は比較的柔軟で、国際原油価格の動向に応じて税率を調整する「変動型」の仕組みを活用している。今回もその仕組みに基づいて素早い対応が可能だった。
タイとの違い
タイは石油基金(Oil Fund)という補助金プール方式で価格を抑制している。この方式は補助金の積み上がりが限界に達するまで機能するが、今回のような急激な価格高騰では基金の赤字が雪だるま式に膨らんだ。
ベトナムのように税制そのものを時限的に変更する方法は、補助金の財源が不要で制度的に持続しやすいという利点がある。ただし税収の一時的な減少が財政に直接影響するため、財政余力が必要だ。
タイの教訓として
タイのエコノミストや政策研究者は「今回のエネルギー危機を機に、補助金依存型の燃料価格政策を見直すべきだ」と指摘する声が多い。ベトナム型の税率調整方式はその一つの選択肢として議論されている。
日本では燃料税の一部還付制度(トリガー条項)があるが、凍結されたままになっている点との類似性から、タイの議論と照らし合わせて注目する向きもある。