タイの不動産業界が、物件購入と長期滞在ビザをセットにした新たなビジネスモデルで外国人の購買力を取り込もうとしている。国内の景気減速と融資審査の厳格化で内需が落ち込むなか、退職者やデジタルノマド、投資家をターゲットにした戦略だ。
この動きの中心にいるのがタイランド・ロングステイ・マネジメント社(TLM)だ。タイ国政府観光庁の支援を受けて設立された同社は、ワンストップサービスとして外国人のビザ取得から物件購入までを一括サポートする。退職者、医療滞在者、リモートワーカーなど、長期滞在を希望する外国人と不動産デベロッパーの橋渡しを担う。
タイの不動産市場は複数の逆風に直面している。経済成長率の低迷、高い家計債務比率、金融機関の融資審査厳格化が重なり、特に中低価格帯の住宅需要が縮小している。デベロッパーは在庫の消化と売上維持のため、購買力のある外国人市場への転換を急いでいる。
Long Stay Visaは、タイに長期滞在する外国人向けの制度で、物件購入や投資と組み合わせることで取得しやすくなる。タイ政府は同国を「世界レベルの居住拠点」として売り込む方針で、退職者や健康回復を目的とした滞在者、医療ツーリストなどの受け入れ拡大を図っている。
在タイ日本人の中にも退職後のタイ移住を検討する層は少なくない。物件購入とビザのパッケージは、手続きの煩雑さを軽減する点でメリットがある一方、外国人の不動産所有にはコンドミニアム(区分所有)に限られるなどの法的制限がある点には注意が必要だ。