野党・民主党のプリット報道官は2026年3月25日以降、ピパット副首相兼運輸大臣をエネルギー危機の担当責任者から外すよう繰り返し要求している。ピパット氏が石油流通大手PTG Energyの株式を間接的に保有しており、燃料危機の対応責任者としての利益相反があるとの主張だ。
利益相反の構造
プリット氏が指摘する利益相反の構造は次のとおりだ。ピパット氏がラチャキット・ホールディングスの株式5%を保有し、同社がPTG Energyの株式25%を保有している。さらにピパット氏の弟がPTG Energyの取締役兼役員を務めている。
PTG Energyは石油流通の大手で、大口卸売・貯蔵施設2社(持分70.50%・40%)、小売販売会社6社(持分99.97%〜100%)、輸送会社4社(持分19%〜100%)、さらにバイオディーゼル精製所1か所を傘下に持つ。
政府が燃料の混合義務(B7やB20など)を決める場合、その恩恵はPTGにも及ぶ可能性がある。バイオディーゼルの混合率を上げれば、精製所を持つPTGの収益が増す。このため、ピパット氏が混合義務に関する政策決定に関与することが問題視された。
「機密価格会議から排除した」発言の矛盾
プリット氏が特に問題視したのは、ピパット氏自身が「石油業者を機密の価格会議から排除した」と発言した点だ。石油業界関係者の会議参加が利益相反を招くとして業者を外したと主張したが、ピパット氏自身がPTGの株主であり、同じ基準で言えば自らも利益相反の当事者に当たるとプリット氏は反論した。
ピパット氏と政府の反応
ピパット氏は利益相反の指摘を否定し、間接保有であるため問題ないとの立場を維持した。アヌティン首相は担当交代の要求を退けており、ピパット氏が引き続き燃料危機対応の陣頭指揮を執る状況が続いている。
野党の要求は国会での質疑にとどまっており、現時点で強制的に担当を変える法的手段はない。しかし燃料危機が国民生活を圧迫するなか、政策立案者への疑義が払拭されないことは政府への信頼を損なう。
タイの利益相反規制
タイでは閣僚が株式を保有すること自体は禁じられていないが、直接的な利害関係のある政策決定への関与は回避義務がある。国家汚職防止・根絶委員会(NACC)は閣僚の資産公開を義務づけており、間接保有の株式も申告対象だ。