日本の高市早苗首相は、中東紛争による原油高騰に対し、燃料補助金の予算を拡充して小売価格を抑制する方針を示した。さらに食料品の消費税を2年間引き下げる計画も推進し、低所得世帯・子育て世帯の負担軽減を目指している。
一方、タイは3月26日に全燃料を一斉に6バーツ値上げした。石油基金の財源が限界に近づいたためで、補助金の維持は財政を圧迫する。タイ政府は「ASEAN内では安い方」と主張するが、国民の不満は大きい。
両国の対応の違いは、財政余力の差を映している。日本は国債発行による財源調達が可能だが、タイの石油基金は運用規模が限られる。信用格付け機関は、タイが燃料補助を3カ月以上続ければ格下げリスクがあると警告している。
もう一つの違いは、密輸の問題だ。タイが価格を抑えれば近隣国への燃料密輸が増加する。島国の日本にはこのリスクがない。タイ政府が値上げに踏み切った背景には、密輸による供給の流出を止める意図もある。
同じ中東危機に直面しながら、先進国と新興国では取り得る手段が異なる。タイ国民にとっては厳しい現実だが、財政の持続可能性を考えれば、補助金依存にも限界がある。問われているのは、負担をどう分かち合うかという政治的判断だ。