タイ海軍特殊部隊トラート(ฉก.นย.ตราด)の司令官タンマヌーン・ワンナー海軍大佐が3月26日、タイ・カンボジア国境のトモルダー地区付近で、カンボジア兵が小火器を複数回発砲する事案があったと発表した。事件は先週発生しており、タイ側に被害はなかったが、国境に緊張が走っている。
発砲の経緯
司令官の説明によると、カンボジア側の軍人が自軍の将官の人事異動(配置換え)への不満を理由に挙げて発砲したという。軍内部の不満が国境地帯での実弾使用に発展した形だ。
タイ側は発砲に対して直ちに応戦せず、状況を確認のうえで抗議した。司令官は「今後同様の事案が繰り返された場合は、安全保障上の措置として直ちに対応する」と強く警告した。
トラート国境の地政学的背景
トラート県はカンボジアとの海上・陸上の国境を抱えており、カイ島(コー・カン島)をめぐる領有権問題も続いている。加えて、2025年から2026年にかけてカンボジア軍によるタイ側への越境・威嚇事案が複数報告されており、緊張が高まっている状況だ。
国境付近では燃料・物資の密輸問題も重なる。2026年3月の燃料危機でタイの燃料価格がカンボジアより大幅に安くなったため、国境を越えた密輸需要が急増した。こうした経済的な緊張が国境での摩擦を増幅させているとの見方もある。
タイ・カンボジア関係の現状
両国は表向き外交的に良好な関係を保っているが、国境問題や経済問題をめぐる局地的な摩擦は続いている。今回の発砲事案は重大な国際問題に発展しうるが、双方が外交チャンネルを通じた解決を優先する姿勢を維持している。
カンボジア政府は今のところ公式なコメントを出しておらず、事案が外交問題として正式に取り上げられるかどうかは不明だ。タイ軍は今後の動向を注視しながら国境警備を強化している。