タイ・サイバー犯罪捜査局(สอท.、Thailand Cyber Crime Investigation Bureau)は2026年3月26日、バンコク東部ラートクラバン地区の倉庫を急襲した。国家放送通信委員会(NBTC/กสทช.)との合同作戦で、SNSを通じて無認可で販売されていたドローン約2,500機(推定500万バーツ相当)を押収した。
摘発の経緯
สอท.局長のスラポン・プレムブット中将が主導したこの作戦は、SNS上での無許可ドローン販売の通報を受けて事前に捜査を進めたものだ。NBTCと連携することで、電波通信法の観点からも違法性を確認した上で令状を取得した。
ラートクラバン地区の倉庫には段ボール箱に詰められた多数のドローンが保管されており、いずれも正規の輸入通関手続きを経ていない「密輸品」だった。NBTCの電波認証も受けておらず、タイの電波法(Radio Communications Act)に違反する。
容疑者は現場では見つからなかったが、品物の所有者と取引記録の特定が進んでいる。
無許可ドローンが問題とされる理由
タイでは民間用ドローン(無人航空機)の運用と販売に明確な規制がある。航空局(CAAT)への飛行登録、電波認証(NBTC)の取得が義務付けられており、無認可の機器は電波干渉や航空事故のリスクを生む。
特に問題視されたのは、この種の無認可ドローンが「農薬散布」「空撮」「配送」だけでなく、安全保障上の懸念を生む用途に悪用されうる点だ。ミャンマー内戦でドローンが兵器として使用される事例が近隣でも確認されており、タイ当局は境界線での無人機の制御を重要な安全課題と見ている。
SNS販売の問題
今回押収されたドローンはFacebook、LINE、TikTokなどのSNSプラットフォームを通じて格安で販売されていた。正規品より大幅に安い価格設定が多くの購入者を引き付けていたとされる。
SNS上の個人間取引は行政の監視が届きにくく、密輸品・模倣品の流通ルートとして利用される場合がある。タイの税関とサイバー警察は2025年からSNSを使った密輸取引の監視体制を強化している。
ドローン市場の現状
正規のドローン市場では、中国製(DJIが市場シェア最大)の製品がタイでも主流だ。農業用ドローン散布機は1台約10〜50万バーツで、大規模農家が導入を進めている。趣味・映像用のコンシューマー向けドローンも普及しており、法定手続きを踏まえた使用が定着しつつある。