タイ商務省は中東情勢に伴う原油価格高騰を受け、食料品・日用品の便乗値上げと買い占めを防ぐため、全国の市場を対象とした価格・在庫監視を強化した。商務省外国貿易局長のアラダー・フアンドン氏は同僚の担当官らとともに、バンコクのバーンケン区にあるサノームミット市場に直接出向いて調査を行った。
現地調査では、生鮮食品・食料品ともに在庫量は十分とされた一方、品目によって価格変動の差が確認された。豚肉(成形後の臀部肉)は1キログラムあたり160バーツと前月より上昇。鶏肉は直近2週間で価格が上がったものの現時点では横ばいで、工場出荷価格が下がる兆しが見えてきた。鶏卵は2週間前に比べてわずかに上昇し、Lサイズ(3番)が1個3.7バーツとなった。
商務大臣スパチー・タマパンヌー氏の指示を受けて、省内全部局が全国一斉の「フィールド調査」に乗り出した。目的は二つで、便乗値上げや買い占めをしている業者を摘発すること、そして消費者に「食料品は十分に供給されている」という安心感を与えることだ。担当官は「不透明な価格操作を発見した業者には法律に従って厳しく対処する」と明言した。
価格統制法(Consumer Protection Act)に基づき、政府が指定した「管理品目」については事前届け出なしの値上げが制限されている。2026年3月時点の指定品目には砂糖・植物油・調理油・麺類・缶詰食品などが含まれる。今回の調査は指定品目以外の生鮮食品についても監視対象に広げた点が特徴だ。
タイの消費者物価指数(CPI)は2026年2〜3月に前年同月比で約2.5〜3%の上昇を示しており、特に食料品と輸送コストの寄与が大きい。家計への圧力が高まる中、政府の市場監視は消費者心理の安定化にも機能する。一方で業界団体からは「コスト高なのに価格を抑えるのは無理がある」との声も上がっており、供給側との調整が課題となっている。