イランの駐バンコク大使館が2026年3月25日、「友人には特別な場所がある」との声明をX(旧Twitter)に投稿した。タイの船舶がホルムズ海峡を安全に通過したことを受け、タイとイランの友好関係を強調した内容だ。
タイ政府は中東情勢が緊迫化するなか、ホルムズ海峡の通航安全確保に奔走していた。
声明の背景
この声明はイランの南アフリカ大使館がXで発信し、バンコク大使館がリシェアした。原文は「We mean it when we say the Strait of Hormuz is not closed. And for the record, friends have a special place(ホルムズ海峡は閉じていないと言うとき、本気だ。また明確にしておくが、友人には特別な場所がある)」という内容だった。
背景には、2026年3月に激化したイラン・イスラエル間の軍事的緊張がある。ホルムズ海峡は世界の石油輸送の約20%が通過する要衝で、封鎖されれば原油価格が暴騰するだけでなく、タイのような石油輸入国には深刻な影響が出る。
タイ船の通過という事実
実際にタイの船舶がホルムズ海峡を通過し、イランが安全を保証したことは、タイ政府外交の成果として受け止められた。タイは非同盟・実利外交を基本とし、中東諸国とは宗教・政治体制を超えた経済関係を維持してきた。
タイ政府はイスラエルとも外交関係を持つが、ガザ紛争やイラン核問題では積極的に立場を表明しない「静観外交」を貫いている。この姿勢が、イランからも「友人」と見なされる土台になっているとみられる。
タイと中東の経済的結びつき
タイはカタール、サウジアラビア、イランなど中東各国との貿易・労働者送出が活発だ。タイ人出稼ぎ労働者が中東で働く件数は数十万件にのぼり、送金額は年間数百億バーツに達する。また、タイへの中東系観光客も増加傾向にある。
中東情勢の緊迫化は、タイにとって単なる他地域の問題ではない。石油価格の上昇、航空便の減便、観光客の減少、そして海峡通行リスクなど、複数の経路でタイ経済に影響が及ぶ。
ホルムズ海峡の地政学
ホルムズ海峡はイランとオマーンの間を結ぶ幅約55kmの水道で、ペルシャ湾の石油タンカーが通過するほぼ唯一の出口だ。タイが輸入する原油の大部分もここを経由する。イランが海峡封鎖を示唆するたびに原油市場は敏感に反応し、タイでも燃料価格が即座に動く。