タイ東北部のナコンラチャシマー県(コラート)で2026年3月、27歳の男性が突然の胸痛を訴えて受診したところ、X線検査で胸部に縫い針が刺さっていることが判明した。針は心臓のすぐそばまで届いており、外科手術で摘出が必要な状態だった。本人は「いつ、どのように針が体内に入ったか全くわからない」と語っている。
医師によると、縫い針は繊維質の薄い服やふとん・マットレスに紛れ込んでいる可能性がある。特に古い布製品・仕立て工房で使われる業務用の細い縫い針は気づかず踏み込んだり接触したりして皮膚を貫通し、筋肉・組織を通じて体内を移動することがある。タイでは年間数件、体内に異物(縫い針・ガラス片・金属片など)が偶発的に入り込む事例が医療機関から報告されている。
今回の事例では縫い針が胸腔の深い部分まで到達していた。心臓や大血管のすぐそばにある場合、除去手術は高リスクで、精密な外科手術が必要だ。患者は手術を受けて針を摘出し、状態は安定したとされるが詳細は公表されていない。
日本でも縫い針・ガラス・プラスチックの体内異物事例は年間数十件以上報告されており(日本救急医学会)、多くは足の裏から踏み込むケースだ。タイでは家の中でスリッパを履かない慣習が農村部では残っており、床に落ちた針を踏む事故が起きやすい。
特に裁縫・縫製業者の家庭や手芸愛好家には「針の使用後は必ず専用ケースに収納する」「床や椅子に刺したままにしない」という基本管理が重要だ。磁石を使った落ち針の探索は応急処置として有効で、縫製工場では磁石付きスティックの常備が推奨されている。