日本政府が3月26日に石油備蓄の放出を実施する。イラン戦争による原油高騰を受け、IEA(国際エネルギー機関)の協調放出の一環として行われる。
日本の石油備蓄は国家備蓄(約145日分)と民間備蓄(約90日分)の2層構造だ。2022年のロシア・ウクライナ戦争時にも協調放出に参加した実績がある。今回の放出量はまだ発表されていないが、前回は国家備蓄から約750万バレルを放出した。
タイはすでに石油備蓄比率を1%に引き下げて市場に放出している。日本の放出はIEAの枠組みに基づく協調行動で、タイのような「個別の緊急対応」とは性格が異なる。IEA非加盟のタイにはこうした国際的な安全網がない。
日本とタイの対応の違いは、エネルギー安全保障の制度設計の差を映している。日本は約230日分の備蓄を持ちIEAの枠組みで行動できるが、タイの備蓄は98日分と少なく、国際的な協調メカニズムに参加していない。
日本の備蓄放出はアジア全体の原油供給を一時的に安定させる効果がある。タイを含むASEAN諸国にとっても間接的なプラスだ。しかし中東情勢が好転しない限り、放出は一時しのぎにすぎない。