アヌティン首相は「ディーゼル価格をもう固定しない。市場メカニズムに委ねる」と宣言した。石油基金による価格抑制を事実上放棄する方針転換だ。
首相は「需要と供給のバランスが最も重要だ」と述べ、人為的な価格抑制よりも市場原理を優先する姿勢を示した。エネルギー事務次官が「33バーツをできるだけ長く維持する」と発言した直後の方針表明で、政権内の認識の食い違いも見られる。
この発言は事実上、ディーゼル価格がさらに上昇することを意味する。原油175ドルシナリオではディーゼルは40バーツを超える計算になる。石油基金の赤字2.8兆バーツを考えれば、「もう補助金で持たせられない」という判断だ。
日本もガソリン補助金の終了が議論されているが、日本の場合は段階的な縮小が想定されている。タイは「一気に市場任せ」という急激な転換で、消費者への打撃は大きい。
在タイ日本人にとっては、家計の燃料費が今後も上昇し続けるリスクを織り込む必要がある。EVへの乗り換えが「いつかの話」から「今考えるべき話」に変わった瞬間だ。