タイ証券取引委員会(SEC)は、無認可の仮想通貨取引所Bybit、OKXなど複数のサービスへのアクセスを2026年6月28日までにブロックすると発表した。タイ国内の利用者保護と不正取引防止が目的で、インターネットサービスプロバイダー(ISP)に対してアクセス遮断の実施を指示する。
ブロック対象の取引所
SEC発表によると、ブロック対象となる取引所にはBybitとOKXが含まれている。いずれもグローバルで数百万人の利用者を持つ大手仮想通貨取引所だが、タイのSECから正規の事業認可を受けていない。タイの法律ではデジタル資産事業者は事前にSECの認可を受けることが義務付けられており、無認可での事業活動は違法だ。
BybitとOKXはいずれも日本の金融庁からも無登録業者として警告を受けており、両国の規制当局が同方向の対応をとっている形だ。
タイ国内の認可取引所との違い
タイSECが認可している国内の仮想通貨取引所には、Bitkub(タイ最大手)、BitazaやSatang Pro(現Gulf Binanceの前身)などがある。これらは利用者の本人確認(KYC)、資金の分別管理、異常取引の当局報告など厳格な要件を満たしている。
一方、無認可の外資系取引所はKYCが甘く、資金洗浄に悪用されるリスクが高いとSECは指摘する。また利用者が損失を被っても、タイの法律に基づいた救済申請が困難になるという問題もある。
タイの仮想通貨規制の経緯
タイは2018年に「デジタル資産事業法(Digital Asset Business Act)」を施行し、仮想通貨取引所や投資信託をSECの管轄下に置いた。2022年以降は既存の規制の実施強化に加え、NFTや分散型金融(DeFi)への適用拡大も検討している。
ただしVPNを使った規制回避が容易なため、アクセスブロックの効果には限界があるという見方もある。SECは「ブロック措置は抑止力であり、悪意ある利用者に対して当局が真剣に取り組んでいると示す意味がある」としている。
規制強化の世界的潮流
アジアでは仮想通貨規制の強化が加速している。韓国は2024年に「Virtual Asset User Protection Act」を施行し、インサイダー取引や市場操作に刑事罰を設けた。シンガポールも取引所の資金分別管理規制を強化し、日本では2017年から資金決済法改正で取引所登録を義務化している。
タイのSECは2026年から外資系取引所との規制協力の枠組みを模索しており、将来的には条件付きでの事業認可を認める可能性もある。タイ国内では約1,000万人が仮想通貨を保有または取引しているとされ、規制環境の整備は市場の健全な成長に不可欠だ。