中東の軍事衝突による燃料危機が教育現場にも波及している。2026年3月下旬、農村部の子どもたちが燃料高騰による家計悪化で学校に通えなくなるリスクが高まっているとして、前進党の国会議員が教育省に早急な対応を求めた。
議員の訴え
ナッタヤー・ヴィクラロム前進党議員が3月23日、タイラット紙を通じて訴えを発した。「燃料危機と農産物価格の低迷で、農家の子どもたちが再び学校に通えなくなる恐れがある」というものだ。
農村部では通学にバイクや自動車が必要なケースが多く、燃料費が家計に直結する。特に東北部(イサーン)や北部の農村地帯では、学校まで数十キロの距離を乗り物で通学する子どもが珍しくない。家計が苦しくなると、最初に削られるのが通学費・学費になりかねない。
燃料費と農家への打撃
農業用機械(トラクター、ポンプなど)のほぼすべてがディーゼルに依存しており、燃料高騰は農業コストに直結する。農作物の出荷価格が据え置かれる中でコストだけが増えれば、手取り収入が急減する。
農家が経済的に追い詰められれば、子どもを学校に通わせる余裕がなくなり、農作業の手伝いに駆り出されるケースも出てくる。タイでは児童労働の禁止が法律で定められているが、農業の「家族内作業」という形で教育機会が失われることは起きやすい。
教育省への要求
ナッタヤー議員は教育省(MOEDU)に対し、農村部の脆弱な立場にある子どもたちの状況を速やかに調査し、必要な支援策を講じるよう求めた。奨学金の拡充、交通費補助、給食プログラムの強化などが選択肢として考えられる。
タイでは既に低所得家庭の子どもへの教育補助金制度(กองทุนเพื่อความเสมอภาคทางการศึกษา、EEF)があるが、危機的状況には追加の緊急支援が必要だという論点だ。
タイの教育格差
タイでは都市と農村の教育格差が深刻な課題だ。首都バンコクと東北部・北部農村では教育施設の質、教員の資質、子どもの学習時間に大きな差がある。燃料危機のような外部ショックは、既存の教育格差をさらに広げるリスクを持つ。
UNESCO等の国際機関もタイの農村部教育への継続的な支援を求めており、政府は平等な教育機会の確保を掲げている。今回の燃料危機は、その達成に向けた試練となった。