エネルギー規制委員会(ERC、กกพ.)は、2026年5〜8月の電気料金(Ft)として4つの選択肢を提示した。最も低い選択肢は現行と同じ1単位あたり3.88バーツ、最も高い選択肢は4.59バーツとなっている。中東情勢の影響でLNG(液化天然ガス)価格が急騰しており、電気代のさらなる上昇圧力がかかっている。
4つの選択肢の内訳
ERC委員のウォンラウィット・スリーアナンラック氏が記者会見で説明した内容によると、4つの試算値は以下の通りだ。
3.88バーツは現行のまま据え置く案で、電力会社に補助を継続する場合に相当する。3.95バーツは7サタン(0.07バーツ)の小幅値上げで、現在の原価コストに最も近い水準とされる。4.08バーツは輸入LNG価格の変動を一部転嫁した案。4.59バーツはLNG価格の急騰を全額転嫁した場合の試算だ。
最終的な料金はERC委員会の正式承認と政府の政策判断によって決まる。業界団体と消費者団体からの意見聴取を経て最終決定される見通しだ。
LNG価格の変動が電気代を左右する理由
タイの電力の約6割は天然ガスを燃料とする火力発電が担っており、そのうちミャンマーやタイ湾の在来型ガスに加えてLNG輸入が増加している。中東からの輸入LNGはスエズ運河やホルムズ海峡を通るルートが多く、紛争リスクが高まると価格が急上昇する。
ウォンラウィット氏は「中東紛争でLNGが1バレルあたり25ドルまで上昇した。電気代は本来こうしたコストを反映すべきだが、政策的に抑制するかどうかは政府の判断による」と述べた。
電気代がタイ家庭に与える影響
タイの電気料金はブロック料金制を採用している。月間300単位(kWh)未満の低使用世帯には低い単価が適用され、消費量が増えるほど高い単価が適用される。月の平均電気代は低所得世帯で約300〜500バーツ、中間層世帯で約1,000〜2,000バーツが目安とされる。
4.59バーツに設定された場合、現行比で約18%の値上げとなり、中間層世帯では月200〜400バーツの追加負担が見込まれる。燃料費の高騰と物価上昇が重なるタイ国民にとって、電気代の値上げはさらなる生活コスト圧迫につながる。
節電の手段
タイ当局は電気代上昇局面に向けて節電を呼びかけている。エアコンの設定温度を26度に維持すること、使用していない機器のコンセントを抜くこと、LED照明への切り替えが有効とされる。家庭用ソーラーパネルの普及も推進されているが、初期投資回収に5〜10年かかるため、短期的な負担軽減にはならない。