タイ農業協同組合省のクリットチャノン・アイヤパンヤー報道官は、スリヤ・ジュンルアンキット農業相の指示で「Quick Win(即効的成果)」を狙った5つの作業部会を立ち上げると発表した。中東情勢の悪化、季節果物の価格、農地証書の発行遅れ、干ばつ警報、水と土地の管理、そしてPM2.5を含む災害対応。並べると、いまタイの農村が抱えている悩みのほぼ全部に近い。
5つの作業部会は、(1)中東情勢への対応、(2)輸出と国内消費を見据えた農産物管理、(3)農業用水と土地・土壌の管理、(4)新世代Smart Farmerの育成、(5)災害とPM2.5対策、という構成だ。委員長は農業協同組合省事務次官のウィナーロート・サップソンスック氏が務める。それぞれの作業部会は5月30日までに行動計画と数値目標を出すよう求められており、ありがちな「会議のための会議」では困る、という大臣のメッセージが透ける。
具体策として打ち出されているのは、農業用ポンプや灌漑へのソーラーセルの普及、土壌分析にもとづいて肥料量を細かく合わせる精密農業(Precision Agriculture)、そして化学肥料の調達先を中東以外にも広げるための交渉だ。中東情勢で原油や肥料の調達コストが上がっているなかで、農家の手元に残るお金を確保するためには、燃料代と肥料代をどう削るかという地味な話に行き着く。
もう一つの軸は、政府が長く掲げてきた「BCG経済(バイオ・循環・グリーン経済)」の本格運用だ。農業残渣をエネルギーや素材に回し、新しい高付加価値のサプライチェーンを作る、というビジョンが添えられている。気になるのは、これが言葉だけで終わらず、実際にイサーンの田畑で動くのか、というところだ。
ニュースとしては地味だが、コメ・ゴム・トロピカルフルーツの一大生産国であるタイの農業政策は、街のスーパーや市場で見る野菜・果物の値段、そして北部・中部の乾季の空気の濁り具合まで、ゆるくつながっている。発表のスピード感が、夏場のドリアンの店頭価格にどう跳ね返るか、しばらく追ってみたい。