タイの財務省次官ラワン・センシン氏が5月11日、政府の経済刺激策「古車交換新車プログラム」について「想像以上に簡単ではない」と慎重な見解を示した。4000億バーツの緊急借入勅令で実施を予定する政策だが、査定価格設定の困難さや廃車処理プロセスの未整備など複数の技術的問題が残っており、タイ消費税庁(สรรพสามิต)に「至急かつ明確に」結論を出すよう財務省から要請された段階で、具体的な開始時期は未定だ。
ラワン次官の説明によれば、同じ年式の古車でも車両状態が異なれば査定価格を5万バーツにするか6万バーツにするかが難しいという。古車の年齢基準の設定、同年式で状態が異なる車の公平な評価方法、そして「高い車を安く買う」「安い車を高く買う」リスクの回避という3点が実務上の課題として挙げられた。
さらに重大な問題は廃車処理プロセスの未整備だ。次官は「タイにはまだ古車の廃車処理を体系的に行うプロセスが整っていない」と明言した。政府が買い取った古車を鉄スクラップに分解し、バッテリーを分別し、廃車の偽装転売を防止するフローが体系化されていなければ、「税金で買い取った古車が市場に再流通する」リスクが残る。
タイ消費税庁が2〜3週間前に進捗報告を出した内容を踏まえ、財務省は「至急かつ明確に」結論を出すよう指示した。技術的問題の解決には時間が必要とみられ、政策の正式発表時期は依然不透明だ。
プログラムの狙いは国内自動車製造業の需要喚起、燃費の悪い古車の撤退促進、EV普及の追加プッシュと多目的だ。タイの自動車市場は2026年第1四半期に前年比プラスで回復基調を見せる一方、B-SUV/BC-SUV分野ではBEV比率が52.9%と電動化が急速に進む構造変化に直面している。
政策が実施されれば中古車市場の価格動向に影響が出る可能性がある。古車所有者は政府買取価格を待つ動機が生まれ、新車購入者も補助金期待で購入時期を遅らせる行動変化が想定される。駐在員が日本帰国時に車を売却する際の価格や速度にも影響が及ぶ。正式発表の時期と内容を注視することが推奨される。




