タイ警察庁経済犯罪対策部が5月11日午後4時30分、チョンブリ県バンラムン郡ノンプルー地区の高級住宅で、中国人3人が電子タバコ用液体(ポッドケ/Pod K)を違法製造していた工場を摘発した。2階建て延床約100ワー(約400平方メートル)の邸宅内にラボ装置と化学物質タンクが設置され、ポッドケカートリッジが大量に押収された。近隣住民の証言は驚愕的で、「この家は誰も住んでいないと思っていた。いつも電気が消えていて、出入りする人も見たことがなかった」という静寂の偽装。当局は2月にも同地区で同様装置を押収しており、中国系違法薬物製造ネットワークの存在を示唆する。
摘発の経緯は次の通り。タイ警察庁経済犯罪対策部の捜査チームは事前情報を元に、バンラムン郡ノンプルー地区の高級住宅を特定。家宅捜索令状を取得して5月11日午後4時30分に強制執行を実施。室内に入ったところ、(1)化学薬品製造装置、(2)ポッドケ用カートリッジ大量、(3)複数の化学物質タンク、(4)ラボ施設一式、を発見した。
押収現場の様子は組織犯罪の典型だ。延床約100ワーの高級2階建て邸宅は、表向きは静かな住宅街の一軒として偽装され、近隣住民は「無人の家」と認識していた。実態は本格的な化学薬品製造ラボで、(A)専門装置、(B)大量の原料化学物質、(C)製品カートリッジ、を組み合わせた量産体制となっていた。
逮捕された中国人3人は身柄拘束後、警察取調べを継続中。容疑は、(1)違法薬物製造、(2)電子タバコ関連物質の違法製造(タイは電子タバコ・ポッドケが法的にグレーゾーン)、(3)無許可化学物質の保有、(4)外国人による違法事業運営、など複数。具体的な氏名・年齢・出身地は公開されていないが、組織犯罪ネットワークの末端である可能性が高い。
近隣住民の証言は衝撃的だ。「この家には誰も住んでいないと思っていた。いつも真っ暗で、出入りする人も見たことがない」「警察の大規模捜索を見て驚愕した」「あんなに静かな家で違法薬物を作っていたとは」など、住宅街の中に隠匿された違法工場という構図が浮き彫りに。意図的な「無人偽装」は、中国系違法工場のオペレーション特徴とされる。
タイ警察は2月にも、同じチョンブリ県内で類似の違法薬物製造装置を押収しており、ネットワークの全容解明に向けて捜査を継続中。「ポッドケ製造装置の特殊性」「化学物質の調達ルート」「販売先・流通経路」を解明することで、中国系違法薬物ネットワーク全体の解明が期待される。
タイの電子タバコ・ポッドケ規制は複雑だ。タイ法律上、電子タバコ・ポッドケは「販売・輸入禁止」だが、所持・使用は法的にグレーゾーン。観光客にとって混乱の原因となる規制で、空港・税関での没収・罰金事件が年間数百件報告されている。違法製造工場の摘発は、(1)国内供給の遮断、(2)密輸入の代替経路の遮断、(3)若者への普及防止、を狙う。
本事件は、中国人ミンチェン氏の武器庫事件、パンガン・サムイ島のノミニー1万1426社、中国人2人のタイ国民IDカード違法取得など、中国系外国人犯罪が組織的に進化する文脈に位置付けられる。アヌティン政権のフリービザ全カテゴリ整理指示は、こうした事件の連続を背景としている。
タイ在住の日本人駐在員家族にとっては、(1)パッタヤ・チョンブリ周辺の住宅街での治安認識、(2)電子タバコの法的取扱いの再確認、(3)思春期の子供がポッドケを入手する経路の警戒、(4)中国系コミュニティ全体への偏見を持たない冷静な認識、が重要となる。違法薬物製造の摘発は治安改善の前向きな動きとして評価しつつ、自衛意識を維持することが推奨される。