タイ商務省国内商業局が「プムプアン(รถพุ่มพวง)」プログラムの当選車両3,800台を5月12日に発表する。応募締切は5月7日で、最終応募者は1万397件と募集枠の3倍近くに達した。当選車両は5月15日から6月14日までの1か月、全国の路地裏や離島・遠隔地に低価格商品を巡回販売し、政府ブランド「Thong Fa(青い旗)」のモバイル市場として機能する。各車両には燃料3,000バーツ分のチャージカードが無料配布される。
「プムプアン」とは、もともとは果物・野菜を山積みにして売り歩く軽トラックを指す愛称で、農村部から発展してきたタイ独自のモバイル小売文化だ。今回の政府プログラムでは、これを「タイ助けタイ・プラス(ไทยช่วยไทยพลัส)」キャンペーンの一環に組み込み、3,800台を「公的認証された巡回販売車」として運用。Thong Fa価格(市場平均より2-3割安)で米・調味料・洗剤・トイレットペーパーなどの生活必需品を提供する。
応募者は1万397件と、募集枠3,800台を大幅に上回る人気となった。これは、タイ全国に存在する個人事業主の軽トラック所有者(推定3万台超)にとって、燃料3,000バーツ無料・政府認証ブランドでの販売・固定客への定期巡回ルート確立、というメリットが極めて魅力的だったことを示している。
5月25日登録開始の「タイ助けタイ・プラス」と「コンラクルン・プラス」とセットで動く政策パッケージで、アヌティン政権の「現金給付に頼らずモノとサービスへのアクセス改善で物価対策」という方針の象徴的施策となる。
商務省内国商業局は当選車両発表後、各郡(アンプー)の行政事務所で結果を公表。落選者にも「予備リスト」として6-9月に追加採用される枠が設けられている。当選車両のドライバーは、Thong Fa正規ブランドを車体に表示し、商務省の発行する識別証を携行することが義務付けられる。
経済学者からは、「短期的には物価対策として有効だが、税金で賄う燃料補助は持続性に欠ける」「個人事業主への直接補助は『票買い』批判の対象になりかねない」との指摘もある。一方、政治面では、人民党・与党連立がBMA(バンコク都)以外の地方支持基盤を厚くする手段として機能するため、9月のタクシン仮釈放期間終了と並行して継続することが見込まれる。
同時期に進行している4000億バーツの借入勅令で「救済2000億+エネルギー転換2000億」の枠が設定されており、プムプアンへの補助はこの「救済枠」から拠出される構造。タイ政府の物価対策は、現金給付(コンラクルン・プラス)+モノ供給(プムプアン・Thong Fa)+エネルギー価格抑制(石油基金)の三層構造が固まりつつある。