タイのスパチー副首相兼商務大臣が5月9日、ドリアンの主要産地チャンタブリ県で農家に対し「未熟果を切り出して市場に出さないでほしい」と要請した。今年は生産量増加と中東情勢による輸送コスト上昇で開幕価格が下がっており、品質低下で海外市場の信頼が崩れることを懸念した動きだ。ベトナム産でカドミウム検出問題が発生したことでタイは品質を強みに競争する戦略に転じている。
スパチー商務大臣がチャンタブリで農家に未熟ドリアン出荷停止を要請
5月9日、スパチー副首相兼商務大臣はマンゴスチンとドリアンの市場戦略と価格安定について議論する会議をチャンタブリ県で開いた。会議後の取材に対し「今年の果物市場、特にドリアンは前年より厳しい状況」と述べ、生産量の大幅増加、中東情勢による輸送コスト上昇、暑さと乾燥による小型果実の多発という3つの逆風が重なっていると説明した。これらの結果、ドリアン開幕時の価格は前年より低い水準で推移している。
今年は生産量大幅増加+輸送コスト高+小型多発で開幕価格下落
農業協同組合省のデータでは、今年のドリアン生産量は去年より大きく伸びる見通しだ。一方、海上輸送コストは中東情勢の緊迫で上昇しており、輸出時の利幅が圧迫されている。さらに今年は暑さと乾燥のため小型果実の比率が高く、ハイエンド輸出市場での値付けが難しくなる構造もある。問題が表面化してから対応するのではなく、年初から先回りで海外マーケティング、国内消費喚起、中国西部やラオス-チェンコン-成都ルートでの新規市場開拓を進めてきた。
ベトナム産カドミウム問題、タイは品質で勝負
商務大臣が農家に強く要請したのは、未熟ドリアンを切り出して市場に出さない厳格な品質管理だ。ベトナム産のドリアンで一部からカドミウムが検出される事案が発生しており、東南アジアのドリアン市場全体で「品質と安全」が改めて注目される局面となっている。タイがこの隙にしっかり品質で評価を上げれば、ベトナムの一時的なつまずきを長期的なシェア拡大につなげられる。逆に未熟果を市場に流して海外バイヤーの信頼を損ねれば、せっかくのチャンスを潰すことになる。
マンゴスチンも5/21-6/10収穫期、小型55%で対応策準備中
マンゴスチンも5月21日から6月10日にかけてが収穫の最盛期で、今年は小型果実の比率が約55%と高い。商務省はマンゴスチン専用集荷場(ラーン・マンクット)の開設、モダントレード(大手スーパー)との販路接続、輸出促進などの対応策を準備中だ。在タイ日本人駐在員家庭にとっても、5月下旬から6月上旬は高品質のドリアン・マンゴスチンが市場に並ぶ時期で、価格と品質のバランスを見ながら旬の果物を楽しめる季節となる。