タイ精米業協会の会長バンチョン・タンチットワッタナクン氏が5月9日、スパチー商務大臣が米国産トウモロコシの購入契約を結ぶ可能性を否定した。「商務大臣は能力ある人物で、タイ国内の飼料原料の余剰状況を理解しているはずだ」と語り、米国産トウモロコシの追加輸入が国内米産業の副産物価格を圧迫する懸念を示した。
タイ精米業協会会長、米トウモロコシ購入契約は「あり得ない」と否定
精米業協会のバンチョン会長は、「スパチー商務大臣が米国産トウモロコシ購入の契約に行くという報道があったが、現時点で明確な情報は確認できていない」とした上で、「商務大臣は複数領域の運営経験を持つ知識ある人物で、タイ国内の飼料原料状況を熟知しているはずだ。一部のグループの誘導に従って契約に踏み切る可能性は低い」と述べた。商務省の最新方針については、事実関係の確認待ちの段階だ。
過去2年で代替輸入18百万トン、追加輸入で価格圧迫の懸念
タイは過去2年間で、人間の食用および家畜飼料用の代替原料を約1,800万トン規模で輸入してきた。すでに国内に十分な量の飼料原料が流通している現状で、米国産トウモロコシを追加で輸入すると、米産業の副産物(米ぬか、砕米など)の価格が下落する懸念がある。タイの精米業界は米そのものだけでなく、副産物の販売も収益源としているため、副産物価格の下落は産業全体の利益を圧迫する。
米ぬか価格は2025年11月に6バーツ/kgまで下落、新たな輸入で更に圧迫
実際の事例として、2025年11月には白米ぬかの価格がキロあたり6バーツ(1トンあたり6,000バーツ、約2万9,400円)まで下落した。タイの精米業界にとって既に厳しい水準に達している。新たに米国産トウモロコシが大量輸入されれば、飼料原料市場全体の価格水準がさらに下押しされ、米ぬかや砕米の販売価格が一段下落するリスクが高まる。
米国は関税撤回・5百万ドル返還決定済み、対米貿易の変化点
バンチョン会長によると、米国側はすでに対象国に対する関税の撤回を決定し、複数国の事業者に対して合計500万ドル相当の返還を進めているという。これは過去のタリフ問題が一区切りついた段階で、新たに米国側の要求に応じてトウモロコシ輸入を約束する必然性は薄いという見解だ。在タイ日本人駐在員にとっても、タイ農業政策の変動は飼料系日系企業の事業計画に直接影響する論点で、商務大臣の最終判断と協会の動きを注視する価値がある。