タイ官報が5月9日、財務省に4,000億バーツ(約1兆9,600億円)の借入権限を付与する勅令を公布した。エネルギー危機の影響対応とエネルギー転換投資を目的に、救済2,000億バーツ+転換2,000億バーツの半々で配分される。国王が5月4日に署名済みで、契約締結期限は2027年9月30日まで。野党は違憲審査を申し立てる構えで、政治的緊張が高まる。
タイ官報が4000億バーツ借入勅令を公布、財務省に強い借入権限
正式名称は「エネルギー危機影響対応・エネルギー転換のために財務省に借入権限を付与する勅令、仏暦2569年(2026年)」。財務省はタイバーツ、外貨いずれの形でも借入が可能で、政府名義の国債発行も認められる。借入総額の上限は4,000億バーツで、執行はアヌトン・チャイムヴェラウォン財務大臣が担当する。国王マハー・ワチラロンコーンは5月4日に署名済みで、官報公布によって法的効力を持った。
内訳は救済2000億・エネルギー転換2000億、用途分け明確
借入金は2つの柱で運用される。1つは2,000億バーツの「救済プログラム」で、エネルギー危機の影響を受けた市民、農家、事業者への直接支援に充てられる。もう1つは2,000億バーツの「エネルギー転換プログラム」で、化石燃料削減、再生可能エネルギー設備の設置(カーボンクレジット創出を含む)、環境配慮型車両の普及促進、EV充電ステーションの拡充、エネルギー転換に関連する労働者スキル開発に投じられる。
国王署名は5月4日、契約期限は2027年9月30日まで
財務省事務次官をトップとする審査委員会が、4,000億バーツ全体の運用を監視する役割を担う。委員会は四半期ごとにプロジェクトの進捗を確認し、内閣に報告する仕組みだ。借入と運用に関する契約締結期限は2027年9月30日と定められており、それまでに調達と支出計画を完結させる必要がある。期間中の使途透明性と進捗管理が運用上の最重要ポイントとなる。
在タイ日本人にも影響、エネルギー価格安定化とEV充電投資の流れ
在タイ日本人駐在員にとっても、今回の借入勅令は生活コストとビジネス環境の両面に関係する。救済2,000億バーツの執行で電気代・燃料代の補助が継続されれば、家庭の生活費と工場の操業コストが下押しされる。一方、転換2,000億バーツでEV充電ステーションが全国展開すれば、すでにEV購入を検討している駐在員にとって走行可能エリアが大きく広がる。野党側は緊急条例(พ.ร.ก.)の形での借入が憲法に適合するか違憲審査を申し立てる構えで、政治的緊張が続く局面となる。