タイ警察庁が5月8日、サムットサコン県ムアン郡の住宅で「ゾンビ」と呼ばれる電子タバコの製造工場を摘発し、20代〜30代の男3人を逮捕した。押収品の総額は700万バーツ(約3,430万円)を超え、1人は2階から飛び降りて逃走を試みるも負傷して捕まった。仕入れ10万バーツ程度の原料を、数百万バーツ規模で販売していたとされる。
サムットサコンで「ゾンビ」電子タバコ製造工場摘発、3人逮捕
摘発を指揮したのは警察庁副本部長のサヤーム・ブンソム警察中将で、副副本部長パッラポ氏、捜査隊隊長プラソン氏、バンコク警察3課隊長クリッ警察大佐ら捜査チームが投入された。実行はスリヤ警察中佐とタネット警察中佐が現場を担当。逮捕されたのは28歳のナコンリン氏、39歳のレワット氏、28歳のサラウット氏の3人で、サムットサコン県ムアン郡の住宅を製造拠点として使っていた。
押収品総額700万バーツ超、1人は2階から飛び降り逃走負傷
捜査員が踏み込んだ際、容疑者の1人が2階から飛び降りて逃走を図ったが、すぐに身柄を確保された。その際に負傷し、結果的に「逃げ切れずに無駄に怪我をした」格好となった。家中から押収された電子タバコ本体、リキッド、原料、包装資材などの総額は700万バーツを超えた。住宅の各部屋に製造設備や材料が広がっており、生産規模としても相当な量だった。
仕入れ10万バーツ→販売数百万バーツの高利益率
供述によると、容疑者らは原料を10万バーツ程度で仕入れ、それを「ゾンビ」電子タバコとして製造・販売することで、数百万バーツの売上に化けさせていた。利益率は数十倍規模で、違法商品の典型的なマージン構造を示している。タイでは2014年から電子タバコの製造・輸入・販売・所持が全面禁止されており、特に「ゾンビ」のような強力な向精神成分を含む製品は、2重3重の重罪対象となる。
「ゾンビ」電子タバコとは?エトミデート混入で意識朦朧の事例
「ゾンビ」と呼ばれる電子タバコは、本来は静脈麻酔薬として手術現場で使われる「エトミデート」を高濃度で含有させたリキッドを使用するもので、吸引した使用者がフラフラと意識朦朧の状態でその場で倒れ込む様子から名付けられた。タイ国内では若年層への流通が急速に広がり、社会問題化している。在タイ日本人駐在員家庭でも、子供が学校や繁華街で「電子タバコの一種」として勧められるリスクがあり、家族での情報共有が現実的な予防策になる。