タイ北部チェンマイ市ムアン郡ワット・パンオン四つ角で2026年5月4日午後9時頃、もち米マンゴー(カオニャオマムアン)売場の縄張り争いがエスカレートし、50歳男性(女性店主の親族)が「刺せるなら刺してみろ」と挑発した結果、女性店主がマンゴーの皮むきナイフで実際に脇腹を刺し、致命傷で病院搬送後に死亡する事件が発生した。チェンマイ署が現場検証と容疑者拘束、凶器の血痕付きナイフを押収し捜査を開始した。
事件の発端は売場争いだ。容疑者の女性店主はかつて同じワット・パンオン地区で大型カートを使ってもち米マンゴーを販売していたが、売上が伸びず別エリアのワット・シーガート方面へ移転。その後、70歳のおばあちゃんが代わりに同じ場所で営業を始め、こちらは順調に売れた。それを知った容疑者が、おばあちゃんの店のすぐ近くにカートを設置して再販売を始め、両店主の間で小競り合いが続いていた。5月4日の夜、衝突が一気に殺人事件にまで発展した。
警察が現場に到着した時、もち米マンゴーの販売カートが横倒しになり、もち米とマンゴーが地面に散乱していた。被害者の50歳男性は脇腹を深く刺された重体で、救助隊が病院へ搬送したものの、後に死亡が確認された。容疑者の女性は呆然と現場に立っていたところを警察が確保。凶器のマンゴー皮むきナイフは血痕が付いた状態で押収された。
カオニャオマムアンはタイの代表的な甘味菓子で、特に4-5月のマンゴー旬の時期には需要が急増し、屋台の売上も伸びる季節商品だ。チェンマイの観光地・寺院前は人通りが多く一日数万バーツの売上を稼ぐ屋台もある激戦区。今回の事件は、観光客向け人気スポットでの屋台間の縄張り争いが、想像を超える形で殺人事件まで発展した稀な事案として、地域社会に衝撃を与えている。
タイの刑法では、相手が「刺せるなら刺してみろ」と挑発した文脈であっても、致命傷を負わせて死亡させた場合は殺人罪または傷害致死罪の対象となる。挑発の有無は量刑判断の情状酌量要素になりうるが、刑事責任そのものは免れない。容疑者女性が起訴される罪状、量刑のレベル、おばあちゃんの店との関係、警察の現場検証結果は今後の捜査と起訴手続きで明らかになる見通しだ。
在タイ日本人にとっては、観光地や繁華街の屋台で起こりうるタイ社会の感情的衝突の事例として記憶に残る事件となる。チェンマイは日本人観光客に人気の都市で、ナイトマーケット・寺院前の屋台で食事を楽しむ機会も多い。屋台同士のトラブルや酒に酔った客の口論に巻き込まれない、距離を保つ、夜間の人通りの少ない屋台付近を避けるなど、基本的な安全意識を持って観光することが推奨される。