パトゥムタニ県パーククロン・ランシット警察署が、女性警官を美女に変装させて全身タトゥーの強盗常習犯をリゾートに誘い出し、現行犯逮捕した。4月23日の記者会見で発表された。身柄を確保されたのは通称「Sラーマ5」ことソンサック・トーエイアム容疑者37歳である。警察は背後に少なくとも9件の未解決事件が控えていたと明らかにした。
作戦を指揮したのは、パーククロン・ランシット警察署のパッタナチャイ・パモーンピブーン警視と、副課長のシラポップ・ブアルアン警視補である。捜査員は、容疑者がSNSで女性に近づいてホテルやリゾートへ呼び寄せ、隙を見て金品を奪う手口を繰り返していることを把握していた。そこで女性警官1人を美女に変装させ、容疑者とSNSで会話を重ねて信頼関係を装い、パトゥムタニ県ムアン郡ラックホック区第6集落のリゾートホテルに待ち合わせを設定した。
22日夜、容疑者がリゾートの部屋に現れた瞬間、ドアの外で待機していた捜査班が一斉に突入して身柄を拘束した。容疑者が自宅外で寝泊まりする際に使っていたヤマハTTX(黄色と黒のツートン、ナンバー1 กข 5579 サコンナコン県)のバイク1台と、顔を隠すための黒いフルフェイスヘルメット1個を押収している。
警察によると、Sラーマ5は特にソンクラン、すなわちタイの旧正月にあたる水かけ祭り(今年は4月13〜15日)の前後に犯行を重ねていた。水鉄砲や人混みの混雑を利用して女性に近づき、バッグや貴金属を奪う手口が主で、9件の被害届が県内各地で寄せられていた。「5」というあだ名は、以前バンコクのラーマ5世像周辺で活動していたことに由来するとみられ、全身に鮮やかなタトゥーを入れていることから同業者の間でも知られていたという。
タイのソンクラン期間は水かけ合戦で街中がお祭りムードになる一方、スリや強盗が紛れ込みやすい時期でもある。観光警察と地方警察は毎年この期間にスリ対策を強化しているが、SNSでの「出会い装い」から実際に宿泊施設で襲う手口は比較的新しいパターンだ。警察は類似の被害報告が他県にも広がっている可能性があるとみて、被害者からの情報提供を呼びかけている。
バンコク郊外の宿泊施設を使ったSNSデート強盗は、タイに住む外国人女性にとっても他人事ではない。短期滞在の旅行者や語学留学生の中には、マッチングアプリやInstagramでタイ人男性と知り合ってリゾートで待ち合わせるケースも少なくない。今回の逮捕劇が示したとおり、表情や会話だけでは犯罪歴の有無までは判別できない。初対面の相手との待ち合わせはホテル以外の公共スペースを選ぶ、同行者を作る、貴重品は最小限にするなどの基本が改めて重要になる。