タイ上院の経済委員会が打ち出したVAT 10%引上げ提案に、同じ上院内から強い異論が上がった。ウッティポン・ポンスワン海軍中尉議員(上院)が4月20日、国会の場で「税制改革は上院の仕事ではなく、むしろVATは下げるべき」と主張、委員会の姿勢を厳しく批判した。
Khaosodによると、ウッティポン議員は上院の経済・財政・財務委員会によるVAT引上げ案について明確に反対の立場を表明した。「税率を変更するかどうかを決めるのは政府の仕事。政府が提案を出した上で、上院は審査する役割に徹するべき」と、上院委員会の権限逸脱を指摘した。
個人的見解として「現時点ではむしろVATを下げるべき」と主張する。根拠は国民の購買力低下だ。「物価はすべて上がっているのに、賃金だけは上がっていない。国民は困窮している」と、燃料・食品・住宅・サービスのすべてで価格上昇が続く状況を捉えた。
他国の対応例にも言及した。「日本も原油価格高騰を受けて関連する税を引き下げた。タイも原油高には物品税の引下げで対応する」として、政府が国民の負担軽減を優先する政策を各国が実施している流れを指摘する。
上院内の意見対立は、VAT 10%案の実現可能性を一段と不透明にしている。委員会の経済的立場と、委員会外議員の生活実感が反映した立場が衝突する構図で、上院全体としての統一見解が見えていない状況だ。
ウッティポン議員は委員会を率いるメンバーに対し「多数派として傲慢にならないでほしい」と釘を刺した。上院委員会の権威主義的な動きへの警鐘で、議員間の人間関係にも影響しそうな強い言葉である。
アヌティン政権は5000億バーツ借入政令と税制改革を同時に議論する状況だ。VAT引上げが実現すれば歳入拡大、借入依存度の低減につながるが、国民の反発と経済減速のリスクも大きい。政府が上院委員会案に乗るか、独自案を出すかが焦点となる。
在タイ日本人にとっても、VATの動向は毎月の生活費に直結する。上院内の議論がどう政府の政策決定に影響するか、5月以降の国会審議を注視する局面に入った。