スコータイ県ムアン郡ヤーンサーイ区に住むピパット氏(57)と妻は、2011年から路上に捨てられた犬や猫を拾い、自宅で保護し続けている。15年間で犬38匹、猫64匹、合計102匹を引き取ってきた。
老衰や病気で命を落とした動物も多く、現在は犬18匹、猫15匹の計33匹と暮らしている。人と動物が同じ屋根の下で生活しているが、その家は築40年の木造家屋で柱が大きく傾き、いつ倒壊してもおかしくない状態である。
経済的な余裕はない。夫婦は自分たちの食事を削ってでも動物の餌を確保してきた。ピパット氏は「人間は空腹に耐えられる。でも犬や猫がこちらを見つめる目を見たら、空腹のまま放っておくことはできない」と語る。
タイでは野良犬猫の問題が各地で深刻化している。とくに地方では避妊・去勢プログラムの普及が遅れており、ピパット氏のように個人で保護活動を行う人がセーフティーネットの役割を担っている。
しかし、保護者自身の生活が犠牲になるケースは珍しくない。ピパット氏夫妻の住居は文字どおり崩壊寸前であり、柱が傾いた家で33匹の動物と暮らし続けること自体が危険と隣り合わせである。15年にわたる無償の献身は、動物への深い愛情を示すと同時に、地方における動物保護支援の不足も浮き彫りにしている。



