3月20日にナラティワート県で起きた国会議員銃撃事件の捜査が急展開を見せている。犯行に使われた車両が国内治安作戦司令部(ISOC)の公用車だったことが判明し、軍関係者の関与が次々と浮上している。
事件はプラチャーチャート党のカモンサック・リーワモー議員(59歳、ナラティワート第5区、3期目)がハジャイ空港からバーチョー郡の自宅に戻る途中に起きた。白いトヨタ・ピックアップが議員の車を追い越した後、後退してきてM16自動小銃で10発以上を発砲。議員は負傷したものの一命を取り留めたが、運転手と警察護衛の巡査部長が重傷を負った。
これまでに3人が逮捕されている。犯行車両を運転したアリジー・アブ容疑者(24歳)、元海軍曹長ソンポーン・リムラ容疑者(57歳)、そしてもう1人だ。だが捜査当局は4月6日、さらに海軍中尉と元国境レンジャーの2人がチームに加わっていたとして行方を追っている。
焦点はISOC公用車の経緯に移った。捜査線上には車両を犯行グループに貸したとされる海軍大佐が浮上。ナラティワート知事は調査委員会を設置し、なぜ政府の車両が暗殺未遂に使われたのか解明を命じた。犯行車両は事件後に修理工場に持ち込まれ、解体されて証拠隠滅が図られていた。工場主は「指示されて解体した」と供述している。
カモンサック議員は「ワエユハエ」の愛称で知られる南部の人権派弁護士出身だ。深南部の紛争地帯で住民の法的支援を続けてきた人物で、銃撃の背後にある動機はまだ明らかになっていない。捜査当局は6日午後にも黒幕の名前を公表する可能性があるとしている。
南部国境3県では武装勢力と治安部隊の緊張が続くなか、現職議員がISOCの車両とM16で狙われたという事実は、治安組織内部の闇を示唆している。


