チャイナート県で行われた得度式の最中に、僧侶が女性歌手の後頭部を叩く動画がSNSで拡散し、タイ仏教界が調査委員会の設置に動いた。
動画はチャイナート県ワットシン郡マカムタオ地区のワット・ノーンパヤーで撮影された。得度式の「ウィアンナーク」(出家希望者が本堂の周りを回る儀式)の最中、パレードトラックの上で演奏していた女性歌手の後頭部を、高僧(プラ・ウパッチャー)が突然叩いた。演奏が長すぎて時間がかかっていることに腹を立てたとされる。
衝撃的だったのは叩いた後の態度だ。楽団のメンバーが「なぜ叩いたのか」と問いただすと、僧侶は反省の色を見せず「じゃあ叩き返してこい」と応じた。さらに「กู(俺)」「มึง(お前)」という粗暴な代名詞を使い、「ฉิบหาย(ちくしょう)」という罵倒語まで口にした。仏教の戒律を守るべき高僧の言葉とはかけ離れた対応に、現場は騒然となった。
楽団側は「どんな職業にも尊厳がある。もし誰かが僧侶の頭を叩いたらどう感じるか」と訴えた。女性歌手はメディアへのコメントを控えたが、当日は午前10時に本堂に入る予定で通常のスケジュール通りに演奏していたと説明している。
叩いた僧侶は同県ノーンマモン郡にある別の寺院の住職を務める人物だ。タイの仏教行政機関であるサンガ(僧侶評議会)は動画の拡散を受け、事実関係を調べる調査委員会を緊急で設置した。
タイでは僧侶は社会的に最も敬意を払われる存在であり、得度式は家族にとって人生最大の儀式のひとつだ。その場で僧侶が暴力と暴言を振るったことへの批判は激しく、SNSでは「僧衣を脱ぐべきだ」との声が相次いでいる。



