2026年4月3日、バンコクのラチャダーピセーク通りにある刑事裁判所で、サマート・シーウォングセー被告の保釈申請審理が行われた。サマート氏は元パラン・プラチャーラット党の副報道官で、「タイ反マルチ商法連盟」の元会長でありながら、iCon Groupのマネーロンダリングに関与したとして起訴されていた。
iCon Group事件の概要
ディ・アイコン・グループ(Di Icon Group)は2020年代初頭に展開したネットワークマーケティング(MLM)事業で、高収益の「自社製品販売代理店」制度を前面に出した。しかし実態は典型的な「ねずみ講」構造とされ、2024年頃に会員への損害が顕在化した。被害は数百億バーツ規模に及ぶとされ、タイ史上最大規模のMLM詐欺の一つとして捜査された。
会社の幹部には芸能人や著名人が加わっており、SNSでの宣伝効果もあって多くの一般市民が投資・参加した。サマート氏は「反マルチ商法活動家」という社会的立場を持ちながら、実際にはグループのロンダリングに関与したとして「二重の裏切り」として批判された。
保釈の条件
裁判所はサマート氏の保釈請求を認め、資産評価100万バーツの担保(物件担保)で釈放を決定した。担保物件は被告側が提出した。弁護士は「事件の経緯に最初から不自然な点があり、無罪の可能性もある」と主張した。
現金でなく資産担保での保釈は、本人が高額の現金を持っていないか、当局が示した担保の形を認めた場合に行われる。
事件の進行状況
iCon Group事件では複数の共同被告が起訴されており、主要幹部は別途拘禁または保釈中だ。サマート氏の裁判は2025年の公訴番号6号として記録されており、特別検察官が担当している。今後の公判で事件の全貌が明らかになる予定だ。
MLM詐欺の社会的影響
タイではMLM(ネットワークマーケティング)に関連したトラブルが繰り返し発生している。「合法的なビジネスモデル」と「ねずみ講」の境界線が曖昧なケースが多く、著名人を広告塔にした勧誘で急拡大した後に崩壊するパターンが典型的だ。

