パトゥムターニー県行政機構(อบจ.)は、県内317か所のガソリンスタンドを対象とした「給油ポンプ税」を3か月間免除すると発表した。月約400万バーツの税収を放棄する代わりに、その分を住民へのガソリン値引きとして還元するよう各スタンドに求める異例の措置だ。
タイでは2026年3月から4月にかけて、中東情勢の悪化に伴い石油基金が急速に赤字を拡大し、ディーゼル・ガソリン両方の補助金維持が困難な局面に陥った。中央政府による燃料対策が限界に達する中、地方自治体が独自財源を使って住民の負担軽減に動いた形となる。給油ポンプ税は各県が独自に徴収できる財源であり、県議会の承認があれば減免が可能だ。パトゥムターニー県はこの制度を活用し、3か月という期限付きながら全スタンドへの一律免除に踏み切った。
317か所×3か月で総額約1,200万バーツ(約5,400万円)の税収を犠牲にする計算だが、バンコク北郊のベッドタウンであるパトゥムターニー県の住民にとっては、毎日の通勤・仕事に使う燃料費に直結する支援となる。県内には工業団地や物流施設が多く、車やトラックで移動する労働者層が多い地域特性があり、燃料費の上昇が生活費全体を押し上げる構造になっている。
ただし税収の免除はあくまでスタンドへの負担軽減であり、その恩恵が必ず消費者への値引きにつながるとは限らない点が課題だ。県行政機構は値引き実施をスタンド側に「求める」形にとどまっており、強制力のある仕組みではない。スタンド側が値引きに応じるかどうか、また応じた場合の値引き幅が適切かどうかを監視する体制の整備が必要となる。
今回の措置は全国的にも注目されており、他の県が同様の施策を検討するかどうかが焦点となっている。地方自治体の財源は中央政府と比べて限られているが、「税収を住民に直接還元する」モデルとして機能すれば、燃料危機への対応手段の一つとして全国に広がる可能性がある。タイの一般道路沿いのガソリンスタンドはPTT・バンチャック・ESSO・シェルなど多様な業者が営業しており、いずれも地方税の課税対象となっている。