ヤラー県ベトン郡でドリアン農園を経営するヘーデー氏(本名ウィスット・チョットナナン)が、燃料危機を機にソーラーポンプへの完全切り替えを完了し「ディーゼル代が月3万バーツ浮くようになった」と語った。2026年の燃料危機で、タイ農業のエネルギー転換が加速している。
農園の状況と転換の経緯
ヘーデー氏の農園はタナオマエラオ山系の山腹に位置する。標高のある場所に水を送るために大型ポンプを使い、以前は週1回・200リットルのディーゼルを購入していた。燃料費だけで月3万バーツ(約13万円)かかっていた。
加えて、ポンプの故障・修理費・騒音・モーターの過熱と、ディーゼルポンプのデメリットに悩んでいた。修理業者を呼ぶのにも時間がかかり、その間にドリアンが水不足になるリスクもあった。
ある日、地元の企業の担当者からソーラーポンプの提案を受け、真剣に検討を始めた。オングリッド式(電力網に接続)や蓄電池式など複数の仕様から、自分の農園に最適なシステムを選んで導入した。太陽光発電によるポンプ4基を貯水池に設置するシステムを構築した。
ソーラーポンプの効果
導入後の変化は劇的だった。ディーゼル代は月3万バーツからほぼゼロになった。電気代はあるが大幅に安く、実質的なコスト削減効果は月3万バーツ近い。ポンプ本体の耐久性と静音性も改善された。さらに農園のEV車の充電にも使えるとヘーデー氏は付け加えた。
タイ農業のエネルギー転換
ヤラー・ベトンは特産のドリアン産地として知られる。「ベトンドリアン(ทุเรียนเบตง)」は品質が高く、タイ国内だけでなく中国・香港・シンガポールへも輸出される。2026年4月〜5月が収穫シーズンで、この時期の十分な灌水が品質に直結する。
燃料危機はドリアン農園に特に深刻な打撃を与えた。山岳地の農園では電力インフラが整っていないため、ディーゼルエンジンへの依存度が高かったからだ。ヘーデー氏のようなソーラーポンプへの転換は、こうした農家の自衛策として注目を集めている。
タイ政府もソーラー農業(เกษตรพลังงานแสงอาทิตย์)の普及を推進しており、BOI恩典や農業銀行の低利ローンを活用した導入が全国で広がりつつある。
日本の農業太陽光との比較
日本でも営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)の普及が進んでいるが、初期投資の大きさが課題だ。タイでは太陽光パネルのコストが日本より低く、農業への転用がより現実的になっている。エネルギー危機がソーラー転換を後押しした逆説的な事例として、ヘーデー氏の農園は広く報道された。