タイ海軍報道官のパラット・ポンパニット少将(海軍広報担当)は2026年3月31日、カンボジア海軍が中国から056型コルベット艦2隻の無償供与を受けるという報道について、「タイの海上安全保障には影響しない」と声明を出した。さらに同会見で、タイ海軍が新型フリゲート艦の取得を加速させていることも明らかにした。
カンボジアへの中国艦艇供与の詳細
056型コルベットは中国人民解放軍海軍が運用する沿岸防衛用の小型軍艦で、全長90メートルほど。対潜水艦戦と沿岸警備を主任務とする。中国は近年、東南アジア諸国への兵器供与を通じて影響力を拡大しており、カンボジアはそのパートナーの一つだ。
シアヌービルには中国の影響を受けたレアムシアヌービル海軍基地の整備が進んでおり、中国艦艇の南シナ海・タイ湾へのアクセス拠点化を懸念する声が米国やASEAN諸国から上がっている。
タイ海軍の「問題なし」声明の背景
パラット報道官は「我々の艦艇数、艦種、兵器システム、多次元での共同作戦能力はすべてカンボジアを上回っている」と強調した。タイ海軍の自信の根拠の一つは、海軍と空軍が連携した共同作戦能力だ。
ただしこの声明は政治的な配慮もある。タイはカンボジアとASEAN加盟国として良好な関係を維持しており、カンボジアの中国寄り傾向を公式に批判することは外交的に難しい。「脅威ではない」という発言は実態評価と外交的配慮の両面を含む。
新型フリゲート艦の取得加速
より注目されたのは、タイ海軍が新型フリゲート艦の取得を急いでいるという発表だ。タイは現在1隻のDW-3000Fフリゲート(HTMS Bhumibol Adulyadej)を保有するが、老朽化した艦艇の代替と打撃力強化のため、複数隻の追加取得を計画している。
国防省は外国製フリゲート艦(韓国、スペインなどが候補)または国産化の方向性を検討しており、2026〜2027年に選定が行われる見込みだという。
タイの防衛予算
タイの国防予算は2025年度で約2,500億バーツ(約1兆円)で、GDPの約1.3%だ。ASEAN諸国の中では中程度の水準で、新型艦艇の取得には予算確保が課題となる。