タイ北部チェンマイ県フアンドン地区で2026年3月29日、兵士と薬物密輸グループが2か所同時に銃撃戦を展開し、双方合わせて8人が死亡した。メタンフェタミン(ヤーバー)とアイスをミャンマー方面から持ち込もうとした密輸グループが、軍の巡回部隊と激突した。
戦闘の経緯
2026年3月29日、ガオムー部隊(ゴールデントライアングル方面の山岳地帯担当)傘下のカオムー特殊機動部隊がミャンマーから薬物を持ち込もうとしているグループの情報を入手。チェンマイ県ファーン郡のム・ピン山岳地帯、ボーパン村とラーン村付近で進入ルートを監視した。
第1地点では警告を無視した密輸グループが発砲し、銃撃戦となった。2人が死亡し、アイス289キログラムが押収された。第2地点でも同様の衝突が起き、6人が死亡。ヤーバー10バックパック分(推定100万錠超)が押収された。
ゴールデントライアングルからの薬物流入
タイ北部とミャンマー・ラオスが接するゴールデントライアングルは、世界最大の覚醒剤生産地帯の一つだ。国連薬物犯罪事務所(UNODC)の2025年報告によると、この地域のメタンフェタミン生産量は年間400〜700トン規模と推定されており、東南アジア全域に拡散している。
タイ軍は北部国境で「ゴールデントライアングル対策特別部隊」を常駐させ、密輸ルートの遮断に当たっている。しかし山岳地帯の複雑な地形と密輸グループの武装化が進んでおり、正面衝突となる事案は珍しくない。
押収量の規模
今回押収されたアイス289kgは末端価格で数億バーツ相当とみられる。ヤーバーについても100万錠超であれば数億バーツ規模だ。
タイ麻薬制圧委員会(ONCB)によると、タイ北部国境での薬物押収量は2025年に過去最高水準を記録した。軍との銃撃戦を伴うケースも年間数十件発生している。