タイ疾病管理局が定めた「酩酊状態の検査基準と方法」に関する省令が2026年3月28日に施行された。酒類販売店が客の酔い具合を確認した上で販売することを義務づける内容で、根拠法は2008年制定の酒類規制法第29条2項(2025年改正)だ。違反した場合は法律違反として処罰される。
検査が必要な「酩酊の兆候」
省令が定める検査対象は2類型だ。明らかな身体制御の障害(ふらつき・起立困難など)がある場合は即座に販売拒否が必要となる。加えて、酒の臭いと目の充血・手の震え・ろれつが回らない・攻撃的な態度・注意力の低下のうち複数が重なる場合も検査の対象となる。
3種類の検査方法
省令が定める検査は3種類ある。
指鼻テストは、目を閉じて腕を前に伸ばし、人差し指で自分の鼻先を触る動作だ。1センチ以上外れる、または手が震えている場合は酩酊と判定される。
直線歩行テストは、かかとをつま先に続けてつける形で10歩歩き、ターンして戻る動作だ。バランスを崩す・腕を使う・途中で止まるなど問題行動が2つ以上あれば酩酊と判定される。
片足立ちテストは、片足を地面から約15センチ上げた状態で「1001」から数えながら30秒間維持する。足が着地する・腕で平衡をとる・体が大きく揺れるのうち2つ以上で酩酊と判定される。
規制の背景と実効性への疑問
タイでは飲酒関連事故や飲酒による暴力が社会問題となっている。特にソンクラン期間中の飲酒運転事故件数は突出して多く、2026年のソンクラン7日間では死者151人のうち飲酒運転が主な原因のひとつに挙げられた。
ただし現場の販売店が検査を実施できるかは別問題だ。コンビニや屋台のスタッフが酔った客に対してテストを強要することは実際には困難で、罰則の運用がどこまで厳格に行われるかが問われる。屋外の夜市や酒の販売を兼ねた食堂への適用も不明確な部分が残っている。
選挙前後の酒販売制限との違い
なお、タイには選挙前日と当日に酒類の販売を禁止するルールが別途存在する。今回の省令はそれとは別の、日常的な販売管理を目的としたものだ。選挙期間中の禁酒規制と混同されることがあるため注意が必要だ。