バンコクのヤンナワー区にある私立名門校セントジョセフ・ヤンナワー校で2026年3月25日午後、7歳の男子児童モン君がプールで溺れ死亡した。水泳教室終了後に発見が遅れ、家族が学校の管理体制を厳しく追及している。
事故の経緯
水泳教室は午後2時30分頃に終了し、プールは午後3時に閉鎖された。祖母のナッタポーンさん(51歳)が迎えに来た午後4時頃、モン君の靴と荷物はあるが本人の姿が見えなかった。捜索の末、プール内で水中に沈んだ状態で発見された。救急蘇生が試みられたが助からなかった。
プールが「閉鎖」されてからも約1時間、誰もプール内の確認をしていなかったことになる。
管理体制の問題点
家族が学校に説明を求めたところ、複数の矛盾が浮かび上がった。教師は水泳教室の参加者を「13人」と報告したが、水泳指導員は「15人」と証言しており、人数が一致しない。さらに教室終了後に点呼が行われておらず、7歳の児童が一人でプールに残っていることに誰も気づかなかった。
教師は迎えに来た祖母に「モン君はもう帰ったかもしれない」と説明した。7歳の児童が保護者の迎えなしに一人で下校するという前提自体、低学年児童の安全管理として根本的な問題がある。
プール周辺の監視カメラが「故障中」だったことも判明した。事故の全貌を映像で検証する手段が失われており、真相究明の障壁となっている。
タイの学校プール事故
タイでは学校のプール事故が散発的に発生している。溺水はタイの子どもの死因の上位にあり、世界保健機関(WHO)のデータでは東南アジアにおける5〜14歳の非意図的傷害死亡の主要原因の一つだ。タイ保健省の統計では、溺水による子どもの死亡者は年間数百人規模に上る。
学校のプールでの事故は、監視員の不在・不足、点呼の省略、施設の老朽化が重なって起きることが多い。タイでは民間の学校プールに対する安全基準の適用と監督が十分でないとの指摘が以前からある。
家族の要求
家族は金銭的な補償ではなく、事故の詳細な原因究明を求めた。監視カメラの修理・設置が事前に行われていれば、事故の瞬間を記録して対応の是非を検証できたはずだとも指摘した。モン君の葬儀は3月26日から29日にかけてヤンナワー寺で営まれた。
セントジョセフ・ヤンナワー校はカトリック系の名門私立校で、在住外国人の子どもも通う学校として知られる。今後、教育省やバンコク都が学校プールの安全管理基準を見直す動きがあるか注目される。