タイ商船「マユリナリー号」の船員3人がホルムズ海峡でイランに拘束され連絡が取れない問題で、タイ政府は2026年3月29日、一部の船がホルムズ海峡を通過したことを確認した。しかしマユリナリー号の3人については、なお連絡が取れない状態が続いていた。
続報の状況
外務省のパニドン・パッチムサワット情報局長代理が政府庁舎でブリーフィングを行い、「外相が直接イラン外相に書簡を送り、3名の迅速な解放を求めた」と述べた。
一部の商船はイランとの外交交渉を経て海峡の通過に成功したが、マユリナリー号については依然として情報が不足していた。外務省は状況に進展があり次第、即座に報告するとしていた。
ホルムズ海峡の緊張と商業航路
ホルムズ海峡はペルシャ湾と外洋を結ぶ世界最重要の石油輸送ルートの一つだ。イランは海峡の一部を自国の排他的経済水域(EEZ)と主張しており、緊張時には外国船舶の通過を制限・検査する事例が繰り返されてきた。
2026年の中東軍事衝突では、ホルムズ海峡の通行が不安定になり、タイをはじめとする多くの国の商船が足止めを食った。タイは石油の輸入を中東に大きく依存しており、この海峡の通行障害は燃料危機に直接つながった。
タイ人乗組員の保護
タイ外務省は中東情勢センターを設置し、同地域のタイ人保護に努めていた。タイ人労働者がイスラエル(農業従事者)やその他中東諸国に多数滞在しており、政府は帰国支援と安全確保を進めていた。
マユリナリー号の乗組員3名については、船籍・所有者・乗組員の国籍などの詳細が報道時点では不明確なことが多かった。外務省は公式ルートのみを通じての交渉を強調し、民間企業による独自交渉は避けるよう求めた。
タイの海運と燃料輸入
タイは石油の大半を輸入に頼っており、タンカーによる海上輸送は不可欠だ。ホルムズ海峡の通過が困難になれば、代替ルート(スエズ運河経由→アフリカ南端経由など)への切り替えが必要になるが、輸送日数と費用が大幅に増える。
今回の事態は、タイのエネルギー安全保障の脆弱性を改めて浮き彫りにした。政府内ではエネルギー輸入先の多様化や、国内再生可能エネルギーへの移行を加速する議論も出始めていた。