タイ税関局第2地区(ムクダハン税関)は2026年3月29日、偽造ブランド品6万点以上を押収したと発表した。品目はバッグ・衣類・香水など高級ブランドの偽物で、推定価値は4000万バーツ(約120万ドル)以上に上る。政府の不正輸入品摘発政策の一環として実施された大規模な税関操作の成果だ。
発表によると、押収品の多くはラオス国境を越えてムクダハンに持ち込まれたとみられる。副首相兼デジタル経済大臣のアエクニティ・ニティタンプラパット博士も今回の摘発を評価した。偽造品は中国・ベトナムなどで製造され、メコン川沿いの国境地帯を経由してタイ国内の市場に流れる流通経路が一般的だ。
偽造ブランド品の取引はタイの大きな課題で、毎年数百億バーツ規模の市場が存在すると推計されている(タイ知的財産局)。特に有名ブランドのバッグ・財布・衣類・腕時計・化粧品の偽物は、バンコクのナイトマーケットや地方市場で堂々と売られているケースも多い。タイ政府は世界知的所有権機関(WIPO)や欧米の知財権保護団体からも改善を求められており、知財法の執行強化を繰り返し約束してきた。
ムクダハンはラオスとの国境に面した東北部の交易拠点で、第2タイ・ラオス友好橋を経由した物流の中継地となっている。中国・ラオス鉄道の開通(2021年)以降、物流量が急増しており、合法・非合法の双方で取引が活発化している。税関当局は人員・設備の増強を進めているが、膨大な物流量に対して十分なリソースを確保できていないとの指摘もある。
今回の偽造品押収は今後国内法に従って処理される。偽造品の販売目的保有は商標法違反で最高4年の懲役・罰金の対象となる。ただし輸入・販売ルートの全容解明と首謀者の特定・起訴には時間がかかるケースが多く、末端の運び屋が摘発されて終わるパターンが繰り返されてきた。