ロプブリー県のバイク販売店「チャルームチャイ(เฉลิมชัย)」が、3月28日に「ガソリン1リットルを1バーツで提供する」という思い切ったプロモーションを実施した。燃料価格がリッター41バーツ前後で推移する中、その100分の1以下の価格に人々が殺到し、600台を超えるバイクが店の周囲に列を作った。
このキャンペーンはバイクのオーナーや来店客を対象に、1人あたりの給油量に上限を設けながら1リットル1バーツで提供するものだった。ガソホール95が通常41.05バーツであることを考えると、97.5%という圧倒的な値引き率だ。開店前から行列ができ、店の周辺道路が一時的に混雑するほどの盛況ぶりとなった。
販売店の狙いは単純な利益ではなく、集客と話題づくりだ。燃料危機で人々が「1バーツの価値」を切実に感じている時期に、象徴的な価格設定を打ち出すことで圧倒的な認知度と好感度を獲得した。実際の給油量には上限があるため、店側の実質的な損失は限られる一方で、「バイク600台が集まった」という光景がSNSで拡散し、同等の広告効果を生み出した。
このケースはタイのビジネスセンスの一例として興味深い。「人々が一番困っていることを逆手に取ってマーケティングに変える」発想は、飲食店のフードロス活用や燃料節約型のサービス開発など、タイ各地の中小事業者が燃料危機を商機に転換しようとする動きと共通している。
なお燃料の「転売」目的での購入を防ぐため、来店者1人あたりの給油量には制限が設けられていた。実際に顧客の燃料費負担を少しでも軽減しつつ、店のブランドイメージを高めるという二重の効果を狙った施策だった。