タイ社会保険事務局(SSO)のITシステムが再び不具合を起こし、給付金の処理や振込に遅れが出ている。広報担当のニヤダー・セーニーマノーマイ氏が3月27日、被保険者に改めて謝罪した。
ニヤダー氏は「システム面と情報管理の両面から、可能な限り全力で改善に取り組んでいる」と述べたうえで、「安定したシステムが戻れば、給付申請の手続きと審査は格段に速くなる」とコメント。具体的な復旧時期や改修計画には言及していない。
引っかかったのは、口ぶりに「またか」が滲んでいる点である。広報担当者本人が「また謝らせていただきます」というニュアンスで切り出していて、過去にも同じ症状の障害が起きてきたこと、そのたびに「全力で対応している」という言葉が繰り返されてきたことが、行間からじんわり伝わってくる。
「振り込まれていない」と思い込んでいる人がいる
ニヤダー氏が同じ会見で触れたのは、誤解の方の話だった。最新のデータ確認の結果、給付金が「まだ振り込まれていない」と認識している被保険者が一定数いる一方、実際にはSSO側がすでに振込処理を完了しているケースがあったという。振込先はPromptPay(プロンプトペイ、タイの銀行口座連携サービス)口座である。
つまり、システムの不具合とは別に、振込通知の伝達が追いついていない、あるいは利用者側がPromptPay側の入金記録を確認できていない、という二段構造の問題が並行している。問い合わせの電話やSNSへの書き込みが増えるたびに、SSO側はその二つを切り分けながら回答しているのだろう。
SSOのシステム障害、なぜ繰り返すのか
タイの社会保険事務局のITシステムは、会社員、公務員、自営業者を含む幅広い被保険者の給付請求を捌く規模感のあるシステムである。傷病、出産、失業、老齢など、種類の多い給付の審査と振込を一括で扱う以上、設計の負荷は元から重い。
ニヤダー氏は「システムが安定すれば、申請と審査が速くなる」と強調するが、この台詞自体が以前の障害時にも近い形で繰り返されてきた、というのが今回の正直な印象である。技術面の改修だけで片付かないのか、それとも改修が継続中で完了に時間がかかっているのか、踏み込んだ説明は今回もなかった。
タイの社会保険は外国人就労者も加入対象で、日系企業に勤める日本人駐在員も無縁ではない。給付申請が遅れる、振込が「振り込まれた」のに「振り込まれていない」と認識される、こういう状況が続いている期間は、社内の総務担当者と病院窓口の両方で確認を二重化したほうが安全である。
続報は、SSOが具体的な復旧期限と改修計画を発表する局面で追いたい。