タイのSNSで「病欠(ลาป่วย)」をめぐるドラマが大論争になっている。あるメイド(家事手伝い)が毎月、病欠を「事前に」申請していることに雇用主が困惑し、投稿したのが発端だ。
タイの労働法では、被雇用者は年間30日の病欠が認められている。メイドはこの権利を「計画的に」使い、あらかじめ「来週の水曜日に病欠します」と申告していた。雇用主は「病欠は急な体調不良のためのもので、事前に予定するものではない」と主張した。
SNSでは意見が真っ二つに割れた。「権利なのだから使い方は自由」という労働者寄りの声と、「病欠の趣旨を歪めている」「モラルの問題」という雇用主寄りの声が激突した。
法的には、病欠は自己申告で取得でき、3日以上の場合のみ医師の診断書が必要だ。1〜2日の病欠には診断書は不要で、事前申告の義務もない。つまり「事前に病欠を申請する」ことは法律上は問題ないが、制度の趣旨と乖離しているのも事実だ。
タイの家事手伝い(แม่บ้าน)は法的には被雇用者であり、労働保護法の対象だ。しかし実際には口約束で雇われるケースが多く、権利が曖昧なまま働いている人も多い。今回のドラマは、タイの労働慣行と法律の間にあるギャップを浮き彫りにした。