コンケン県では、廃プラスチックを熱分解(パイロリシス)して燃料に変換する取り組みが住民主導で進められており、燃料危機への地域レベルの対応策として注目を集めている。生成されたガソリンとディーゼルは品質検査を経て、実際にバイクや農業機械に使用されている。
プラスチックの熱分解とは、廃プラスチックを酸素のない状態で高温(300から550度程度)に加熱し、液体燃料・ガス・炭などに分解する技術だ。石油由来のプラスチックは化学的には炭化水素の集合体であり、適切な温度管理のもとで分解するとガソリンやディーゼルに近い成分の液体燃料が生成される。コンケンの取り組みでは、地域内で回収した廃プラスチックを原料として自製燃料を作り、地域内で消費している。
燃料危機でガソリンが最高42バーツ前後、ディーゼルが39バーツ前後に達する中、地場のプラスチック燃料はコストが大幅に安く済むとされる。農業従事者が多いコンケン県では、耕運機や運搬車、水ポンプなど農業機械への燃料費が家計に直接影響する。自製燃料によるコスト削減効果は小さくない。
ただし課題もある。プラスチックの熱分解工程では塩素ガスや有毒ガスが発生する可能性があり、適切な設備と排気処理が不可欠だ。農村部での手作り設備では安全管理が不十分なケースがあり、作業者の健康リスクが懸念される。生成された燃料の品質も市販燃料と完全に同等とは言えず、エンジンへの長期的な影響についても継続的な確認が必要だ。
こうした草の根の取り組みは、タイの地方部が培ってきた「プラスチックのリサイクル・再利用文化」の延長線上にある。燃料危機という強力な動機が重なることで、技術の普及スピードが加速している側面もある。将来的には安全基準の整備と普及支援により、地方の自立的なエネルギー循環モデルの一つとして発展する可能性を持っている。