アヌティン首相は3月25日付の内務省命令第736/2569号に署名し、内務省内に「危機対策本部(ศบก.มท.)」を設置した。本部長には内務省のアラシット事務次官が就任し、中東情勢に起因する国内経済危機への対応を中央と地方で一元化する体制を構築する。
組織の構成と機能
副本部長には国内安全保障担当の副事務次官とバンコク知事が名を連ね、各局長・法務室長・通信室長なども委員として参加する大規模な組織だ。
割り当てられた機能は6つ。中東情勢とその国内への影響の監視・分析、内務省傘下各機関と関連組織との連携統合、国民向け支援策の策定・立案、全国76県の県知事・郡・地方自治体への指揮と調整、上位の政府経済危機対策本部への状況報告、そして国民への正確かつタイムリーな情報発信だ。
内務省が担う地方行政の要としての役割
タイの内務省は全国76県(バンコクを除く)の知事を統括しており、地方行政の実質的な運営を握る。この省が対策本部を持つことで、燃料価格対策・物価安定策・生活支援策が中央の方針に沿って県から村のレベルまで統一的に実施される体制が整う。
当時すでに首相は全国知事とのオンライン緊急会議を開き、買いだめ業者への厳罰・物価監視の強化・燃料配給の効率化を指示していた。今回の対策本部設置は、そうした指示を組織的に実行するための受け皿と位置付けられる。
地方での物資流通格差が課題
燃料危機の初動で問題になったのが、中央の「在庫は十分」という発表と地方の現場のギャップだった。地方によっては給油所が枯渇しているにもかかわらず、中央政府からの情報が届かず混乱が生じた。対策本部に情報収集・発信の機能を置くことは、こうしたギャップを縮める狙いもある。

