アーントーン県の物価委員会(กจร.)が2026年3月27日、県内の石油会社を燃料価格の不当上乗せで刑事告発した。許可されていた輸送費の上乗せはリットルあたり0.16バーツだったが、実際には10バーツもの上乗せが判明した。根拠法は物品・サービス価格法(1999年版)の第29・41条で、違反には最大懲役7年または14万バーツ以下の罰金が科される。
告発に至る経緯
3月27日午前10時に開かれた県物価委員会の定例会議で、県知事を含む委員が県内の燃料販売状況を精査した。その結果、特定の石油会社がリットルあたり0.16バーツしか認められていない輸送コスト上乗せを大幅に超え、10バーツもの上乗せをしていたことが確認された。委員会は全会一致で刑事告発を決定し、県商務局のシカーン・フアンフン局長がムアンアーントーン署に告訴状を提出した。
10バーツ上乗せの影響
当時のディーゼル価格が38.94バーツ/Lだったことを考えると、10バーツの上乗せは本来の価格の約25%に相当する不正加算だ。燃料危機で価格に敏感になった消費者・物流業者にとって、こうした便乗値上げは死活問題だった。
1日100リットルを消費するトラックなら、不正上乗せで1日1,000バーツの余分な負担を強いられていた計算になる。月計算では3万バーツ超の損害だ。
政府の取締り方針
アヌティン首相は3月下旬に全国76県知事との緊急会議を開き、「国民の苦しみの上で利益を得る者には厳罰を」と指示した。燃料危機に乗じた価格つり上げや横流しを摘発する態勢が全国で強化されており、今回のアーントーン県の案件はその具体例の一つだ。
同時期にはシーラチャ、ナコーンパトム、コーンケンなどでも不正な価格上乗せの疑いが調査されており、全国規模での取締りが続いた。
物品サービス価格法の仕組み
タイの物品・サービス価格法は、商務省が「適正価格」と「許可される上乗せ幅」を省令で定め、それを超えた価格での販売を禁じる仕組みだ。石油製品は省エネルギー省が管轄するが、販売価格の適正性については商務省・各県の物価委員会が監視する二重構造になっている。
燃料の輸送費は産地と販売地の距離によって異なるため、個別の上乗せ幅が設定されている。アーントーン県の場合、その上乗せ幅はリットルあたり0.16バーツだったにもかかわらず10バーツが加算されていた。