タイの著名な歴史学者スジット・ウォンテス氏が「古代中国にタイ人はいなかった」と主張し、タイ民族の起源に関する通説に異を唱えた。
タイの学校教育では長年、「タイ人の祖先は中国南部から南下してきた」という説が教えられてきた。しかしスジット氏はこの説に根拠が薄いと指摘する。考古学的な証拠は、現在のタイ領土に古くから定住していた人々がいたことを示しているという。
氏はシンラパワッタナー(文化芸術誌)の創設者で、タイの歴史研究において影響力のある人物だ。「タイ人の起源は単一のルートではなく、複数の民族が混ざり合って現在のタイ人が形成された」との見方を示している。
この議論はタイのアイデンティティに関わるセンシティブなテーマだ。「中国から来た」という説はタイと中国の歴史的なつながりを強調するが、否定すれば独自性を主張できる。政治的な含意もある。
タイに住む日本人にとっても、タイ人がどこから来たのかという議論は「タイを理解する」ための興味深い切り口だ。