プレー県のドイパークロン国立公園(อุทยานแห่งชาติดอยผากลอง)は2026年4月、タイで「山焼き犯第1号」として訴追された男の判決内容を公表した。プレー地方裁判所は同男に禁固1年4ヶ月、罰金14万3,000バーツ(約63万円)を言い渡した。懲役は執行猶予付きの条件で即日収監は免れたものの、有罪判決という事実は変わらない。今後の山焼き抑止への警鐘となる判例だ。
事件は2025年2月15日に起きた。国立公園のレンジャーが巡回中、男が国立公園内の下草に火をつけている現場を発見した。火はまだ小さかったが、乾季の乾燥した環境では瞬く間に拡大する危険があった。男はその場から逃走したが、レンジャーが追跡して身柄を確保した。その後、被告は事実を認める供述をした。
タイでは毎年2月から5月にかけて、農業の慣習や害虫駆除を目的とした野焼きが北部・東北部で広く行われる。これが山火事や深刻な大気汚染の主要な原因の一つとなっている。2025年の乾季には北部を中心に複数の県で大規模な山火事が相次ぎ、PM2.5の濃度が「危険」レベルに達した日が続いた。チェンマイでは数週間にわたって視界が霞むほどのスモッグが発生し、空港の欠航や観光業への打撃も出た。健康被害の訴えも各地で相次ぎ、呼吸器疾患の受診者が増加した。
当局は2025年から山焼きへの取り締まりを大幅に強化する方針を掲げており、その第1号が今回の被告人だ。国立公園森林保全局は判決後に声明を出し「違法な山焼きに対する警告として機能させたい」とコメントした。タイの森林法では、許可なく国立公園内で火を使うことは犯罪行為として規定されている。ドローンを使った監視強化や、違反者の早期発見を目的とした映像解析システムの導入も進んでいる。
裁判所は「被害が軽微だったことは認めるが、行為は完全な違法行為として成立している」と指摘した。執行猶予が付いた背景には、初犯であることや被告が自供に応じたことがあるとされる。ただし同様の行為を繰り返した場合は実刑になる可能性が高い。
タイでは年間に山火事で焼失する森林面積が数十万ヘクタールに及ぶ年もある。チェンマイ、チェンライ、ナーン、プレーなど北部各県は特に山火事の被害が大きく、観光業や農業への打撃も深刻だ。今後は山焼きを行った人物の早期特定と厳正な処罰が、抑止力として機能するかどうかが問われる。今回の判決が実際の行動変容につながるか、当局は今後数年の野焼きシーズンの推移を注意深く観察している。
タイの山岳森林は野生生物の生息域でもあり、野焼きは生態系全体への打撃となる。観光資源としての森林の価値を守るためにも、山焼き禁止の周知と代替農業技術の普及が急務だ。
タイの山岳森林は野生生物の生息域でもあり、野焼きは生態系全体への打撃となる。観光資源としての森林の価値を守るためにも、山焼き禁止の周知と代替農業技術の普及が急務だ。農林業省は農家向けの「不焼き農業(เกษตรปลอดการเผา)」普及プログラムへの予算増額を検討しており、補助金と技術支援をセットにした取り組みが進んでいる。
在タイ日本人や日本からの訪問者にとっても、今回のような出来事はタイの社会・文化の一側面を理解するうえで参考になる。タイと日本の間には歴史的・経済的な深い結びつきがあり、在タイ日系企業のビジネス活動や日本人観光客への影響も無視できない。今後も継続的な情報収集と現地状況の把握が重要だ。
タイは人口約7,000万人を擁する大国で、バンコクを中心に経済・文化・政治が集中している。2026年現在、首相アヌティン・チャーンウィーラクーン率いる連立政権は、中東情勢の影響で高まるエネルギーコストと生活費上昇への対応を最優先課題としている。在タイ日本人・日本企業にとっても、タイの政策動向や社会情勢を把握し、適切に対応することが求められる局面だ。