サムットソンクラーム県を流れるメークローン川の渡し船「セーンワニット船着場」が、燃料6バーツ値上げ後も運賃2バーツを据え置いている。3月26日、記者が現地を取材した。
渡し船はワット・ペットサムットウォラウィハーン側とセーンワニット側を結ぶ。地元住民が通勤や買い物で日常的に利用する生活の足だ。運賃はわずか2バーツ(約8円)。橋を迂回すれば距離も時間もかかるため、川沿いの住民にとって欠かせない交通手段だ。
運営者は「油代は上がったが、住民の生活が苦しい今、運賃を上げるわけにはいかない」と話す。ディーゼルが38.99バーツ/Lまで高騰し、船の燃料コストは直撃を受けている。それでも据え置きを決めたのは、利用者の大半が毎日この船に頼っている地元住民だからだ。
サムットソンクラーム県はバンコクの南西約70km、メークローン鉄道市場(折りたたみ市場)で外国人旅行者にも知られる小さな県だ。観光地ではあるが、渡し船の利用者は地元の人がほとんどで、観光収入は限られる。
運営者は今後のディーゼル価格を注視し、影響を最小限に抑える方策を模索するとしている。2バーツという運賃がいつまで維持できるかは不透明だが、「まず住民の負担を減らす」という判断は、タイの地方に残る助け合いの精神を感じさせる。