ソンクラー県ハートヤイ郡のPTTガソリンスタンドで、ピックアップトラックの運転手と同乗者がディーゼル燃料100リットル(3,081バーツ相当)を給油した後、代金を払わずにそのまま逃走した。スタンドオーナーのジラポーン・クンナム氏は防犯カメラ映像を公開し、犯人に「警察に届け出る前に戻って支払いをしてほしい」と呼びかけた。
映像にはトラックのナンバープレートと乗員の外見が記録されている。犯人らは給油完了後にそのまま走り去っており、スタッフが気づいた時には既に遠ざかっていた。ハートヤイはタイ南部最大の商業都市であり、国境を越えてマレーシアへ向かう幹線ルート上にある。トラックはマレーシア方面へ逃走した可能性も否定できない。
燃料危機が深刻化する中、タイ全土でこうした「給油逃げ(ขโมยน้ำมัน)」の件数が増加傾向にある。ディーゼル100リットルは農業・輸送業者にとって1〜2日分の燃料に相当し、1給油あたり約3,000バーツという負担を回避しようとする動機が働いている。ガソリンスタンドによっては後払い制を廃止して先払い制に切り替えるところも出ているが、流れが悪くなるデメリットがあるため、対応が難しい。
タイでは燃料窃盗に対して窃盗罪が適用され、有罪の場合は最大3年の禁固刑または6万バーツ以下の罰金が科される。防犯カメラ映像があればナンバーから運転手の特定が比較的容易だ。PTTグループの直営・フランチャイズスタンドはほぼ全店に監視カメラが設置されており、今回の映像からの早期逮捕が見込まれている。
ガソリンスタンドでの燃料窃盗はタイだけでなく、世界的に燃料価格が高騰した時期に増加する傾向がある。日本でも2022年のガソリン高騰時に似た事例が報告された。燃料価格が家計を直撃する状況が続く限り、スタンドの警備強化が求められる。