タイ南部スラタニー県サムイ島で2026年3月17日、チェコ人インフルエンサー兼MMAファイターのドミニカ・エリシェロヴァさん(23歳)がスクーター事故で死亡した。ムエタイの練習へ向かう途中、トラックと衝突した。オンラインでは「ミナ」という名前で格闘技・フィットネスコンテンツを発信し、多くのフォロワーを持っていた。
事故の経緯
エリシェロヴァさんはムエタイジムへ向かうためスクーターで走行中、トラックと衝突した。現場はサムイ島内の道路で、詳細な衝突原因は調査中だ。搬送先の病院で死亡が確認された。
サムイ島はタイの人気リゾート島であると同時に、交通事故の多さでも知られる。島内の道路は山がちで急カーブが多く、雨季は路面が滑りやすい。外国人旅行者や移住者がレンタルバイクで移動するケースが多く、タイの交通事情に慣れていないことが事故リスクを高めている。
タイのバイク事故の現状
世界保健機関(WHO)のデータによれば、タイは世界でも交通事故死亡率が最も高い国の一つだ。人口10万人あたりの交通事故死亡者数は約32人で、日本(約3人)の10倍以上にあたる。タイの交通事故死者の約70〜75%がバイク乗車中の事故で占められており、特にヘルメット未着用での死亡が後を絶たない。
観光地での外国人バイク事故も深刻な問題だ。プーケット、サムイ島、チェンマイ、パタヤなどの観光地では、レンタルバイクを利用した外国人観光客の事故が年間数百件規模で発生している。免許不保持のまま乗車するケース、タイの左側通行に慣れていないケース、アルコール摂取後の運転なども事故の主要因として挙げられる。
MMAとムエタイの交差点
エリシェロヴァさんはチェコのMMAファイターで、タイのムエタイ修行のためサムイ島に滞在していたとみられる。近年、欧米の格闘技選手がタイに長期滞在してムエタイを本場で学ぶことが増えている。
サムイ島にはムエタイジムが数十か所あり、海外からのトレーニー受け入れを積極的に行っている。フルタイムのトレーニー向けには食事・宿泊付きのパッケージもあり、数週間から数か月単位で滞在する外国人が少なくない。
サムイ島でのバイク利用と安全対策
サムイ島では公共交通機関が発達しておらず、観光客の多くがレンタルバイクかタクシーを利用する。観光客がレンタルする場合、国際免許証の携帯、ヘルメットの着用(タイ法律で義務)、任意保険への加入が最低限必要だ。
事故時に任意保険に加入していない場合、治療費や搬送費はすべて自己負担となる。タイの国内自動車保険(強制保険)は非常に限定的な補償しかないため、旅行者保険や別途の任意保険が実質的に不可欠だ。右側通行の国から来た旅行者は特に左側通行への注意が必要で、交差点や急カーブでの判断ミスが致命的な事故につながりやすい。