ランパーン県チェーホム郡で、燃料不足が予想外の形で住民生活を直撃している。浄化槽の汲み取りを行うバキュームカー(し尿収集車)が燃料不足で稼働できず、数千世帯でトイレの浄化槽が満杯となって汚物が溢れかえる事態になった。
バキュームカー業者によると、ディーゼル燃料を確保できないために汲み取り作業に出られない状況が続いているという。「給油ができないので出動できない」という業者側の事情は理解できるが、家庭側は今すぐ汲み取りが必要という状況だ。困り果てた住民の一部は自宅の庭に穴を掘り、汚物を埋める応急処置を取るケースまで出ている。周囲に漂う悪臭も住環境を悪化させており、衛生上のリスクが高まっている。
タイの地方では集合住宅の排水は個別の浄化槽(化粋槽)に溜まり、定期的に業者の汲み取りが必要となる仕組みが一般的だ。バンコクなど都市部では下水道が整備されているが、地方都市や農村部では浄化槽方式が今も主流だ。バキュームカーは農業用トラクターや重機と同様にディーゼルを大量に消費するため、燃料危機の直撃を受けた。
「燃料不足がトイレの問題につながる」という一見奇妙な因果関係は、現代の日常生活がいかにエネルギーに依存しているかを示している。電気・水・食料・医療に続いて、衛生インフラの維持もまた燃料が必要だという現実が、タイの地方の現場で浮き彫りになった。
チェーホム郡の住民は自治体への苦情申告と業者への直接交渉で状況改善を訴えており、郡行政側は緊急の対応策を検討していた。